蜘蛛女のキスの作品情報・感想・評価

「蜘蛛女のキス」に投稿された感想・評価

継

継の感想・評価

3.5
牢獄の壁に映る
鉄格子の扉が
蜘蛛の巣のように
その影を張り巡らす

とある南米の監獄.
千夜一夜物語の語り手
シェヘラザードの如く夜な夜な
微に入り細に入り物語る “昔々…”
記憶か妄想か今宵も延々ー.


政治犯と性犯罪者が檻の中
看守と通ずるゲイのモリーナは
往年の映画のストーリーを物語り
テロリスト, ヴァレンティンの心を開かそうと
徐々にその糸を手繰(たぐ)り寄せ
秘密を絡め取らんとするのだが... 。


モリーナを演じたウィリアム・ハートは
'85年カンヌと翌年のアカデミー賞で主演男優賞を獲得
LGBTという略語も無い時代に性的マイノリティの
社会的認知へ向け先鞭を付ける受賞となりました

ブエノスアイレス生まれの原作者マヌエル・プイグは
'73年に政治亡命し, 同年にウォン・カーウァイが『ブエノスアイレス』を撮るきっかけとなる “the buenos aires affair” を発表.
本作で自身を投影するかの様な物語を紡いだプイグは '90年,
エイズにより死亡.

ーおしまい、おしまい。
mtmt

mtmtの感想・評価

3.5
舞台は軍事政権下アルゼンチン。「汚い戦争」時代の刑務所。思想に生きる政治犯と愛に生きるゲイのある秘密を伴う獄中共同生活が描かれている。その背景からも当然のように迎える結末だが、単に悲劇とは言えない美しさがあった。ゲイのモリーナを演じたウィリアム・ハートの演技は素晴らしく、その可愛らしさは一見の価値あり。
す

すの感想・評価

4.1
どうしても見たかった映画。
大倉くんが舞台やったときにネタバレ読んだのでオチまで分かってたんだけど、シンプルに好きな映画だった、、
モリーナが本当に優しくて綺麗で、この人以上に女性らしい人なんているんだろうか、と思いながら見てた。
「蜘蛛女のキス」っていう題がそもそも素敵すぎる。
ヴァレンティンにとっての蜘蛛女はモリーナだったのかマルタだったのか。
ラストのシーンが切なくて切なくて、モリーナはそれで幸せだったんだろうか、と考えてしまった。
それでもモリーナの人生は大好きな映画と同じような結末を迎えたんだから、幸せではなくても嬉しかったんじゃないかなあ。
film2486

film2486の感想・評価

4.1
タイトルに惹かれて録画してた。もっとアブノーマルでヒリヒリした映画なのかなぁ〜と、大変そうでなかなか見る気にならず放置してたけど、観てみたらとっても面白かった。

意外と変わった作りでなくて見易い。映画のお話になると、映像が変わるのがファンタジーで不思議な感じで楽しかった。心に響く同性純愛ストーリー、、、
おっと

おっとの感想・評価

4.1
モリーナはただのゲイというかMTFなのかな。

劇中でモリーナによって語られる(上映される)映画、蜘蛛女の話、ラストのマルタさん。
そのどれもがモリーナ自身であるように思えた。
たくさんの話が絡み合ってて難しいけど、映画の中でナチスと愛し合い撃たれてしまった女の人、どこかの島で自分自身によって縛られている蜘蛛女、ヴァレンティンと牢を出て島に旅立って行くマルタ。
ヴァレンティン側から見ると、最後に出会った(選んだ)のはマルタさんなんだなって悲しくなったけど、そのマルタがある島に縛られたモリーナと重ねられた人物なんじゃないかなと思ったり。
でないと同じ人が三役演じている意味合いがないかなと思う。個人的な解釈だけど。

で、モリーナさんの嘘っぽくない演技がすごかった。嫌味がない。
女だけど男として生きていて、でも女っていう一番難しいところを綺麗に演じていた。そりゃアカデミー賞だわ。
ひとつひとつの仕草がすごく綺麗だし、セリフのひとつひとつも愛情がこもってる。
同性愛だからこそ成立する「無償の愛」が込められていた。
もしこの話が異性愛だったらモリーナが「無償」で提供することはないと思うから。
その無償の愛を感じられるお芝居がすごく素敵だった。
献身的な愛でありながら、親友としての愛も感じられる。

いくつかのストーリーがひとつに溶け合って行く、すごく演劇的な作品だなと。
ミュージカル版も好きだけど、映画とはまた違う視点なので、また別のような気がする。
おもしろい作品だった。
原作の中に登場した映画の中では「キャット・ピープル」(オリジナル版)がレンタル出来たので、それを鑑賞後この作品でどう表現されてるのかなと期待したわけですが、結局登場しなかったので拍子抜けしました!

しかしウィリアム・♡演じるモリーナの堂々と女々しさを隠さない男らしさ(屈折した男らしさ?)がよく伝わってくるのが良かったです☆
じょり

じょりの感想・評価

4.2
①「愛燦燦」度 95%
②視聴者のヴァレンティンに対する見方が作品に影響する度 90%
③どんな状況だろうと、その人が幸せだと感じてる時がその人の幸せ度 128%

いろんな愛がありました。ただ残酷な話です。にも関わらずそこに幸福を感じずにはいられない読後感。
「落下の王国」に近い挿話を用いた進め方ですね。なのでエンタメとして飽きなかったし、後半からギアが一段上がります。個人的には2度出てくる下町食堂の洒脱な男のシーンが好きでした。彼は恐らく足ることを知るといった、幸福の達人だから。
ミュージカル版を観劇したいなぁ◎
ウィリアム・ハートはでかいのだが、とても淑やかに見える。そのボディコントロールの見事さよ。外に出て、クラブに行ったり、フォーンブースで電話したり、雨が降ったり、いちいち画面が美しい。私の中ではウォン・カーワイに近い。ちなみにバブーシュカは踊らない。蜘蛛女はアンジェリカ・ヒューストンではない。
[ホモという位置付け]

レナード・シュレイダーを追う旅。
今年公開された「君の名前で僕を呼んで」は、人々の[LGBT]に関する考え方を一新した作品とも言える。世間的にも、考え方が変わっていってるなかで、この作品が生まれたのも、時代の移り変わりを感じさせる作品でもあった。

だが、この作品の前にも、一昔前に強烈なLGBT映画がある。それがこの[蜘蛛女のキス]だ。タイトルとジャケットからすると、恋愛映画かと思うかもしれない。…確かにそうかもしれないが、中身は[ショーシャンク]とLGBT映画をくっつけた感じの、強烈な作品。
世界の[ホモ]に対する考え方が、抗議デモにまで発展するような厳しい時代を描いている作品だ。
ゲイの男が、自分の生き方を貫き通したゆえに、たどり着く運命とは…。

レナードの作品は、いわゆる[厳しい時代の中にある人の強さ]を描いている作品が主流である。[ブルーカラー]も同じように、[労働者の待遇に対する厳しさ]を描いており、この[蜘蛛女のキス]も、[セクシャリティーに対する厳しさ]を描いていて、強烈な印象を持てた作品だった。

我々が今、考えるLGBTへの対し方も、変わってくるのだろうか…。

そして、僕のレナード・シュレイダーを追う旅は、続く…。
Qちゃん

Qちゃんの感想・評価

3.2
本当はミュージカル版に興味があるんだが、映像化されているのはこれしかないようなのでこれを観た。

タイトルからは全く予想もつかなかった内容で、初めタイトルと内容がどう繋がるのか、かなり戸惑った。まあ、蜘蛛女は死の象徴であり、同時に、結ばれ得ぬ愛する者の象徴でもあるのかな。モリーナにとってのヴァレンティン、ヴァレンティンにとってのマルタ、のように。ミュージカルではもっと分かりやすい形で蜘蛛女を出しているらしい。

ウィリアム・ハート演じるゲイの青年モリーナが、好感が持てて、良い。心根が優しく、おっとりしていて、絶えず受ける差別に耐えながら、自分がゲイであることをどこか傷つきながら引け目に思っているモリーナ。特にヴァレンティンに恋をしてからの、可愛らしくも物悲しい姿は、そっと応援していたい気にさせられる。本役でウィリアム・ハートはアカデミー主演男優賞を取っている。
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