蜘蛛女のキスの作品情報・感想・評価

蜘蛛女のキス1985年製作の映画)

KISS OF THE SPIDER WOMAN

製作国:

上映時間:119分

ジャンル:

3.8

「蜘蛛女のキス」に投稿された感想・評価

rii

riiの感想・評価

5.0
始まりから終わりまで、美しくて、毒々しくて、切なくて、涙が止まらなかったです。

この映画独特のオリエンタルな雰囲気もいいです。
ラストの演出秀逸だな。ウィリアム・ハート演じるモリーナがとても切ない。
andrew

andrewの感想・評価

3.8
獄中内での映画トーク。
夢見るオカマと戦う思想家
対照的な二人を結びつけるのは
マイノリティー的立場としての
共通する葛藤と共有する境遇。
惹かれ合うというより互いに
無いものを得て変わっていく様子に
愛などの定義を越えた人間の
可能性を見るようで感動する。

アルモドバルのトーク・トゥ・ハーを
度々連想させられたがその要因の
一つでもある色彩美が素晴らしい。
小窓から差す青白い月光が
モリーナの衣装を色とりどりに照らし
陰影と闇がそれをくっきり際立たせる。
シンプルな構図であることも色の強さを
純粋に伝える助けとなって良い。

二人が辿り着く場所。
本来なら考えられなかった方向へ
彼らを突き動かしたものは何か。
愛した映画が人生となる
モリーナのラストは感動的。
映画をもっと好きになる映画。
谷中実

谷中実の感想・評価

4.3

このレビューはネタバレを含みます

映画の中の物語を心から愛し、そこに生きる女優を憧憬をもって見つめていた「彼女」が、奇しくも映画を模したような結末を迎えたのは皮肉なのか。

願わくば、その幕切れが彼女にとって祝福の意味を持っていて欲しいと思う。
虜囚という限定された状況の中でこそ、奇跡のように得られた愛を手放さずに貫き通せたことは得難い事実である。
結果的には命と引き換えであっても、彼女は自身に望むことすら諦めていた夢を叶えたのだから。

彼女の人生と同様、映画は幕を閉じるからこそ永遠足りうる。
その閉じられた時間と空間の中では、永続を望んだ愛が破れることも、失うことも無い。
幕切れを経たことで彼女もまた、いつまでも色褪せない物語の世界の住人となった。
もす

もすの感想・評価

3.8
モリーナの女性よりも繊細な女性らしさ、素敵だった。同室のヴァレンティンの秘密を探らなくちゃいけなくて、全て計算づくで彼に優しくしたのかなと思ったらショックだなと思ったけど、刑務所での別れのシーンや電話をかけて危ない橋を渡ってまで彼を助けたいということは、やっぱり本当に彼を愛していたんだなと思った。終わり方は少しもやもやしたけど、基本的には最初から最後まで暗い話だと思い出した。映画の話は、劇中の劇という感じで話を聞き入ってしまった。タイトルの蜘蛛女についてはちょっとしか出てこなくて?となった。
果たしてこのタイトルが正解であるかどうかはうーーーーーーん。。。。悩むところ。最初は刑務所ということしか分からなかったが、まさかの中盤も過ぎた後半で設定が変わる。最後の切なさ。
JF

JFの感想・評価

3.9
 モリーナを愛することができればこの映画を愛することができる。ウィリアムハート渾身の演技。本当に女性的に見えた。

 モリーナとヴァレンティンの愛は確認できないくらいかすかなものだったが、モリーナはその愛にかける。

 二人の囚人がいる。一人は性犯罪者でゲイのモリーナ。一人は政治犯で革命を考えるヴァレンティン。相いれない二人が、古い、たぶんナチスのプロパガンダ映画についてを話題にし、モリーナには秘密があって…。

 戯曲がはまる。そして戯曲からのはみ出し度がイケる。

 絶望ってやつはいろんな表現があると思うが、ヴァレンティンのラストは幸せそうで良かった。あくまで幸せそうというだけだが。
ほしの

ほしのの感想・評価

5.0
大げさに言うと、300本ぐらい観てやっと1本みつかるかどうかってぐらいに感動した映画だった。

ゲイの映画であって、映画についての映画だった。

ナチスプロパガンダのロマンチックな映画と蜘蛛女の映画について話すモリーナ。

映画(虚構)と人生(現実)の複数のレイヤーが語りによって影響し合う。映画が人生に混ざり、人生が映画化していく。

後半のモリーナの揺れと引き裂かれ。

もし自分が映画になるんだったら、面白いんだか面白くないんだか判断つきかねる全然怖くないホラー映画になりたい。「デビルズ・トラップ 密室ホテル女子学生の恐怖」がええな。

あと、たとえどんなに興味ない物語だったとして、結末がどうなるか気になるのはなんでやろ?

原作の小説読む。小説はもっと面白そう。2人の人物の会話で始まって、状況説明などはないまま、その会話が180ページぐらい続くらしい。モリーナが話す映画も、他に「蘇るゾンビ女」「大いなる愛」「黒豹女」「愛の奇跡」があるとのこと。
亘

亘の感想・評価

3.7
軍事政権下のブラジル。とある刑務所で政治犯ヴァレンティンとトランスジェンダーのモリーナが同じ獄房に入る。全く異なるタイプの2人が、同じ部屋で長い時間を過ごし互いに近づいていく。

殺風景な部屋で2人の会話をベースに登場人物もほぼ2人だけでストーリーが展開していく。当初2人は対照的で[ヴァレンティン:男らしい、ぼろぼろの服、革命家]、[モリーナ:女性になりたい、カラフルな服、ロマンチスト]と全く違うしヴァレンティンもモリーナを鬱陶しがっているよう。刑務所の殺風景な部屋だからこそ2人の会話に集中できて心情の変化が強調されていたように思う。

2人の会話だけだと単調になってしまいそうだけど、アクセントになっているのがモリーナの映画についての話。モリーナは感情をこめて登場人物や状況の描写をする。冒頭からまずナチスドイツのプロバガンダ映画を語る。女性が愛のために裏切り殺されてしまう作品で、女性になりたいモリーナにとってヒロインは憧れの女性で、自らの理想像でもある。でも一方のヴァレンティンはプロバガンダ映画の方は「ファシズムだ」としてそれだけで嫌う。確かに彼にとってはファシズムの象徴たるナチスは最も嫌うものだろう。映画のテーマより内容を重視するロマンチストのモリーナに対して、彼は表面上のところしか見てなかったのかもしれない。きっと初めモリーナを鬱陶しがって「ホモ!」と何度も口にしていたのはモリーナの表面しか見てなかったからだろう。

ただ状況が変わるのはヴァレンティンが、食事で体調を崩し粗相をしてから。モリーナがヴァレンティンを献身的に世話して復活させる。ヴァレンティンは、「ホモ」としか思ってなかったモリーナの優しさを感じて心を開いた。そしてモリーナは、いつしかヴァレンティンを好きになってしまっていて、ここから一気に映画のヒロインに重なっていく。献身的に世話をし、政治犯バレンティンの謎を追う刑務所長の揺さぶりにも動じない。初めはふわふわしていたモリーナが徐々にしっかりしていくように見えた。

題名の「蜘蛛女」はモリーナが話す2つ目の映画の主人公。蜘蛛女は南の島に暮らしているが自らの糸で外界とのつながりを閉ざされている。ある日漂流してきた男を介抱する。これもまたモリーナは自分やヴァレンティンの状況に重ねているのかもしれない。自らの糸で閉ざされているのは刑務所の隠喩かもしれないし、流されてきた男はヴァレンティンかもしれない。題名に使われているくらいだから非常に重要なパートだろうけど、その意味を完全には理解しきれてないように感じる。もう一度見てみたい。

終盤モリーナが釈放されてから一気に事態が動く。釈放は警察の罠で、ヴァレンティンの仲間を突き止めるだけのものだった。モリーナがヴァレンティンのために秘密裏の接触を試み警察から追われる様子やヴァレンティンからの願いをかなえるために射殺されてしまうのは、まさにプロバガンダ映画と重なる。モリーナは、まさに理想の女性になれたんじゃないかと思う。ただ警察がモリーナの死体を道端に捨てる様子は、まさに道具としか見ていないようで居たたまれない。

印象に残ったシーン:モリーナが映画のヒロインを描写するシーン。モリーナがヴァレンティンの看病をするシーン。モリーナが刑務所を去るシーン。モリーナが射殺されるシーン。

余談
原作はアルゼンチンの作家の小説で、原作ではアルゼンチンのブエノスアイレスが舞台です。
マル

マルの感想・評価

5.0
かなり昔に市村正親さんがモリーナを演じた舞台を見て、原作を読み、この映画も見なくてはとずっと思っていながら、ようやく見た。
もっと早くに見るべきだったとも思うし、今この年齢になって見たことが良かったとも思うし、心に不思議な印象を刻む映画だ。
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