蜘蛛女のキスの作品情報・感想・評価

蜘蛛女のキス1985年製作の映画)

KISS OF THE SPIDER WOMAN

製作国:

上映時間:119分

ジャンル:

3.7

「蜘蛛女のキス」に投稿された感想・評価

亘

亘の感想・評価

3.7
軍事政権下のブラジル。とある刑務所で政治犯ヴァレンティンとトランスジェンダーのモリーナが同じ獄房に入る。全く異なるタイプの2人が、同じ部屋で長い時間を過ごし互いに近づいていく。

殺風景な部屋で2人の会話をベースに登場人物もほぼ2人だけでストーリーが展開していく。当初2人は対照的で[ヴァレンティン:男らしい、ぼろぼろの服、革命家]、[モリーナ:女性になりたい、カラフルな服、ロマンチスト]と全く違うしヴァレンティンもモリーナを鬱陶しがっているよう。刑務所の殺風景な部屋だからこそ2人の会話に集中できて心情の変化が強調されていたように思う。

2人の会話だけだと単調になってしまいそうだけど、アクセントになっているのがモリーナの映画についての話。モリーナは感情をこめて登場人物や状況の描写をする。冒頭からまずナチスドイツのプロバガンダ映画を語る。女性が愛のために裏切り殺されてしまう作品で、女性になりたいモリーナにとってヒロインは憧れの女性で、自らの理想像でもある。でも一方のヴァレンティンはプロバガンダ映画の方は「ファシズムだ」としてそれだけで嫌う。確かに彼にとってはファシズムの象徴たるナチスは最も嫌うものだろう。映画のテーマより内容を重視するロマンチストのモリーナに対して、彼は表面上のところしか見てなかったのかもしれない。きっと初めモリーナを鬱陶しがって「ホモ!」と何度も口にしていたのはモリーナの表面しか見てなかったからだろう。

ただ状況が変わるのはヴァレンティンが、食事で体調を崩し粗相をしてから。モリーナがヴァレンティンを献身的に世話して復活させる。ヴァレンティンは、「ホモ」としか思ってなかったモリーナの優しさを感じて心を開いた。そしてモリーナは、いつしかヴァレンティンを好きになってしまっていて、ここから一気に映画のヒロインに重なっていく。献身的に世話をし、政治犯バレンティンの謎を追う刑務所長の揺さぶりにも動じない。初めはふわふわしていたモリーナが徐々にしっかりしていくように見えた。

題名の「蜘蛛女」はモリーナが話す2つ目の映画の主人公。蜘蛛女は南の島に暮らしているが自らの糸で外界とのつながりを閉ざされている。ある日漂流してきた男を介抱する。これもまたモリーナは自分やヴァレンティンの状況に重ねているのかもしれない。自らの糸で閉ざされているのは刑務所の隠喩かもしれないし、流されてきた男はヴァレンティンかもしれない。題名に使われているくらいだから非常に重要なパートだろうけど、その意味を完全には理解しきれてないように感じる。もう一度見てみたい。

終盤モリーナが釈放されてから一気に事態が動く。釈放は警察の罠で、ヴァレンティンの仲間を突き止めるだけのものだった。モリーナがヴァレンティンのために秘密裏の接触を試み警察から追われる様子やヴァレンティンからの願いをかなえるために射殺されてしまうのは、まさにプロバガンダ映画と重なる。モリーナは、まさに理想の女性になれたんじゃないかと思う。ただ警察がモリーナの死体を道端に捨てる様子は、まさに道具としか見ていないようで居たたまれない。

印象に残ったシーン:モリーナが映画のヒロインを描写するシーン。モリーナがヴァレンティンの看病をするシーン。モリーナが刑務所を去るシーン。モリーナが射殺されるシーン。

余談
原作はアルゼンチンの作家の小説で、原作ではアルゼンチンのブエノスアイレスが舞台です。
マル

マルの感想・評価

5.0
かなり昔に市村正親さんがモリーナを演じた舞台を見て、原作を読み、この映画も見なくてはとずっと思っていながら、ようやく見た。
もっと早くに見るべきだったとも思うし、今この年齢になって見たことが良かったとも思うし、心に不思議な印象を刻む映画だ。
どり

どりの感想・評価

4.7
モリーナ役の女らしさの表現。完全に女ではなくあくまでも男だという自覚が根底にある。
映画や作り話を用いて鮮やかに伏線配置や心情吐露を行うシークエンスに脱帽
twelve

twelveの感想・評価

3.3
ウィリアム・ハート演じるモリーナの可愛い女ぶりが素晴らしい。
かま

かまの感想・評価

3.7
いい男過ぎるラウルジュリアと、最早女にしか見えないウィリアムハート凄い演技力だ
8畳ほどの牢屋なのに厚みのあるストーリーだった
犬

犬の感想・評価

3.8
ボンボン

刑務所で同部屋のモリーナとヴァレンティン
モリーナはヴァレンティンに対し、とある映画の話を聞かせるが....

ファシズムが台頭する南米のある国を舞台に、テロリストとホモセクシュアルの交流を描いたドラマ

思っていたのと違った
でも、なかなか興味深い作品

ラストも良い

同性愛者モノ
2人に友情を超えた何かが

聞かせる映画の雰囲気良かった
タイトル、ジャケ写も好き

いきなりウイリアム・ハートにはビックリさせられた
ラウル・ジュリアも口悪いけど良かったです
santasan

santasanの感想・評価

3.3

このレビューはネタバレを含みます

政治犯とゲイという正反対の2人の男が、刑務所の同じ房で次第に信頼と愛情を育んでいく過程が秀逸。ゲイのモリーナが語っているレニを主人公とする映画の話、そして蜘蛛女の話は2人を取り巻く微妙な関係を象徴している。信頼する相手を得た2人だったが結末はそれぞれが思いもよらぬ悲しい結果となった。なんというか無常感が漂う作品。
「今度こそ、踏みにじられるな」



ホラー映画の様なタイトルに反して、とても切ないヒューマンドラマ

"蜘蛛"に色々な意味が絡まっている

ちょっとコレと似たような映画ってなかなか無いと思う...
公開当時よりも近年の方が評価されるのではないだろうか?

【 追記 】
主演の二人は食事代・宿泊費を除くとノーギャラで出演したらしい
また、撮影中に拉致されて銃口を突きつけられたりと、めちゃめちゃ大変だったとのこと...
大手スタジオ制作ではなく、当時は珍しいインディペンデント映画だったので、かなり低予算で頑張ったそう

努力の甲斐あって、インディペンデント映画では初めての『アカデミー作品賞』候補に選出
mayu

mayuの感想・評価

2.9
蜘蛛女が出てくるホラー映画かと思っていた馬鹿な自分。あまりハマれず。愛情が深まるにはなんだか足りない気がして、なんならハメるためにああしたのか?とも思えてしまった。ラストもえっ?それ?な感じでした。
mikoyan358

mikoyan358の感想・評価

3.0
2008/1/24鑑賞(鑑賞メーターより転載)
ウイリアム・ハートが役にはまりすぎ。最初は引き気味に見ていたが、徐々に肩入れしたくなってくるから不思議だ。
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