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メキシコ万歳のTSのレビュー・感想・評価

メキシコ万歳(1979年製作の映画)
3.2
【神秘的なメキシコの文明】72点
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監督:セルゲイ・M・エイゼンシュテイン
製作国:ソ連
ジャンル:?
収録時間:86分
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『戦艦ポチョムキン』を世に送り出した名匠、セルゲイ・M・エイゼンシュテインの作品。しかしながら未完結の作品であり、旧友のアレクサンドロフが50年の時を経て編集した幻の作品だそうです。当時のメキシコ情勢について、歴史的な伝統と現代における独裁を対照的に描いています。幾何学的な構図や、モンタージュなど好き嫌いが分かれる要素がふんだんに使われているため退屈してしまう可能性も否めないですが、「死」をも恐れないメキシコの国民性には圧倒されました。

恐らく最初に映る神殿群はテオティワカンのものでしょうか?もしくはチチェン・イツァと思われますが、1930年代のこれらの神殿を観れるのは中々貴重と思われます。その随所に、憎しみのごとくキリスト教の教会が映し出されます。メキシコにとって、西欧人は支配者そのもの。ましてやキリスト教なんて彼らからすると邪教のようなものです。そのあたりのメキシコの歴史、伝統を支配する西欧への批判、そして独裁政権である現代メキシコを揶揄した作品であるのかと感じられました。

結局のところ最後までエイゼンシュテインは今作を描ききれなかったので、最後はアレクサンドロフが締めています。故にドキュメンタリー的な映像も使われているため、仕方ないのですが中途半端な感じは否めません。是非、完成したものを見てみたいと思いました。
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