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五瓣の椿のmireiのレビュー・感想・評価

五瓣の椿(1964年製作の映画)
4.3
野村芳太郎監督作品 「五瓣の椿」1964
岩下志麻出演作品、野村芳太郎監督全作品鑑賞目標

今回は野村芳太郎監督による岩下志麻の復讐劇を選択。
彼はよく岩下志麻を起用する、あまり知られた作品ではないが「命果てるまで」という作品ではかなりの脇役だが一番オーラがあるのが岩下志麻だ。その他にも「鬼畜」や「女の一生」に出演している。岩下志麻を観たいのなら彼女の良さを1番見出し理解している(と個人的に私は思っている)野村芳太郎監督作品を観るのが1番だと思う。
父親を殺された娘の復讐劇、序盤から男を簪で一刺しする。「父ちゃん、殺ったよ。私等々やったのよ。」彼女の復讐劇はここから始まる、殺すべき相手は1人ではなく複数居たのだ。娘は復讐心に飲み込まれ、色目を使い、心だけでなく体を利用して犯行を進める。
岩下志麻だけでなく、悪徳医者の妻として心を病める女を演じた千之赫子(始めてみる顔だった為調べたのだがこの映画自体の情報が少なく彼女で合っているのかが少し不安である)の「死んでやるよ死んでやる」と冷や汗をかきながら言う鋭い芝居に惹かれた。
この作品であらゆる女性を演じた岩下志麻、男の前で可愛いこぶり、桃色の着物を着飾って高笑いをする姿、仕草、表情の一つ一つが色っぽく艶がある。芝居の上に芝居を重ねる、男の前では何も知らない女性を演じるが実際は今にも殺したくて仕方がない復讐心に溺れてる女。
かなりコントラストのかかった外見と内見、ここが入れ替わる際にかかるBGMは不気味だった、野村芳太郎監督はミステリー物に入れてくるBGMのセンスがかなり光っている、ヒッチコックの様なお洒落さもある。「ふふふふふ....ふ..ふふふ...っははははは!!!!!」と徐々に高笑いする彼女は狂気に満ちていた。毎度、犯人に犯行時の出来事や印象をしっかり聞き出す事でより強い復讐心を抱き一思いに簪を刺す姿、髪が乱れている岩下志麻も着物が乱れている岩下志麻、頗る美しかった。彼女の芝居は「これが芝居というものよ」と見せつけてくる気がしてゾクゾクする。
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