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はじまりのうたのmireiのレビュー・感想・評価

はじまりのうた(2013年製作の映画)
3.6
※以前課題として提出したものなので引用禁止です


「はじまりのうた」


アカデミー賞を受賞した事でも知られている「ONECEダブリンの街角で」の監督ジョン·カーニーによるアメリカ合衆国の音楽映画、2013年に上映された。


この映画には世界的に有名なアメリカンミュージックポップ、ロックバンドのマルーン5の1人(ヴォーカル)アダム·レヴィーンも出演していることで話題になった。

他にもアベンジャーズで知られているハルクのマーク·ラファロがいる。

ヒロインには歌手ではなく、イギリスの女優であるキーラ·ナイトレイを起用。彼女の代表作と言えば個人的にパイレーツ・オブ・カリビアンだ。


この映画は、劇中歌の「lost stars」がアカデミー賞の歌曲賞にノミネートされた事でも知られている。

この曲のI’ll be damned, Cupid’s demandin’ back his arrow (キューピットが愛の矢を返して欲しいと言っている)という部分が私は好きだ。中々ない表現だとおもった。



(私なりに説くあらすじ)

自分の歌った曲が映画の主題歌として使われる事が決定したアダム·レヴィーン演じるデイヴ。そしてその恋人であり自身も曲の制作、歌唱をするキーラ・ナイトレイ演じるグレタ、2人はイギリスからアメリカのニューヨークへと拠点を移し暮らしていた。だが、有名になるにつれ浮き足立ってきたデイヴが浮気をしてしまう。その事に心から傷ついたグレタは友人で歌を歌う事に生きがいを感じているスティーブに助けを求める。スティーブは彼女をバーへと連れていき「歌を歌いなよ」と半ば強引に観客の前で弾き語りをさせる。たまたまその弾き語りを聞いていた、音楽プロデューサーであるマーク·ラファロ演じるダンが彼女の歌に将来性を感じ、音楽の世界に挑戦しないかと声をかける。ここから話は彼女達の精神的な成長とアーティストとしての成功へと話が進んでいく。

グレタは元彼であるデイブを思いながらも、自分のやりたい事をまっすぐ進むため強い心を生み出す。

ダンは不安定な生活や妻と娘との距離感から精神的に病んでしまっていたが、彼女と音楽を作っていく中で少しずつ前向きになっていく。



感想


それぞれの人間が、自分は悲劇のヒロインだと思い悩むところで助けてくれる人が現れる、「運」が作り上げた物語だと思った。
この「運」も一人一人の人間性の良さが引き寄せているものであり、日々踏ん張って生きてきたからこそ回って来ているのだろうなと思った。
私は音楽のことに関するとまるっきり知識もなく分からないことばかりだが、彼女や彼女達の曲は聞いていて心地がよかった。
歌詞が悪くいえば在り来りなのかもしれないが、誰しも考えたことや感じたことのある思いを文学的に表していて聞いていて共感できるものが多かったからだ。
服装もヒロインのグレタは清楚でありながらカントリーチックでもあり好印象だった。
彼女の深くはっきりとした顔に赤いチェックのワンピースはとてもマッチしていた。
作中で服装のことでグレタがダンの娘に対しアドバイスをしていたが「露出の多い服は魅力的だけど、男が想像できないのよ」という発言にはかなり好印象を抱いた。
日本の着物などが魅力的だと言われるのもそういった観点からなのだろうと腑に落ちた。
彼女の存在によりダンの娘の笑顔が少しずつはっきりしていくのが観客である私も嬉しく思えた。
街の中をイヤホンを2人でさして歌いながら踊りながら歩いているシーンはとても楽しそうで、私自身もよく音楽に耳を傾けながら街を歩く事がある為見ていて心が踊った。音楽というものは心を安易に動かしてくれる、その曲の世界に入り込んでしまえば自分を強者にも、弱者にも変えてしまうのだと思う。

ダンの、全ては糸で繋がっていて最後は真珠にたどり着くというセリフがとても好きだ。
どんな時間や行動、気持ちにも無駄なものはなく全て自分の欲しがる光へと導く糸になっているのだ、私もそう考えて日々を生きているのでダンがその言葉を代弁してくれて嬉しかった。私がいつか演者として舞台や作品に出た時同じようなことを心から言えたらと思う。

英語がわかる私からすれば、作中あらゆる汚いスラングが台詞の中にあったがそれらも人間性としての1部であり、より一層自然な雰囲気を醸し出す事が出来ていたと思う。
アルバムを作るためにニューヨークの様々な場所で歌を歌ってははしゃぐ彼らがとても羨ましく思えた、何の隔たりもなく好きな物をと究極に追い求めている彼らは本物のアーティストなのだと。

ダンの娘が最後に参加して居たのはとてもよかった、あの演奏をきっかけに彼女は自信を手に入れることが出来たと思った。
そのあとの彼女は肩の荷が降りたような柔らかい表情、歩き方になっていた。

最終的に利益を求めず、アルバムを1ドルで売り出したのには思わず笑ってしまった。
現世界では到底できない事だが、本当にこの様なことが起きたら様々な業界が騒ぎ出すだろうなと思った 。
ダン自身も家族との距離が縮まり会話にも温かさが宿っていた、歌や人との出会いによりそれぞれの道が補正された、最高にハッピーエンドな映画だった。
サウンドトラックを購入したい。

そしていつか愛おしいと思える人ができたら一緒に見たいと思えた。
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