凍える寒さのノースダコタ州「ファーゴ」にて、とある男が発端となって巻き起こってしまう事件。コーエン兄弟の代表作とも言われているブラックユーモア的クライムスリラー映画。
雪に付着する血の赤色が印象的。まずストーリーがバツグンにおもしろい。登場人物のちょっとした出来心から、見る見るうちに取り返しのつかない事態へと発展していく、そのハラハラドキドキ感に見入ってしまうはず。発端となる男を演じるのがウィリアム・H・メイシー、彼ってうだつの上がらない役がハマりまくる。仕事熱心な警察署長にはフランシス・マクドーマンド、当然のことながらこの頃はまだ若い、そんで可愛い。スティーヴ・ブシェミ、ピーター・ストーメアなど脇を固める俳優もまたクセ者揃い。これはあらすじなどをあまり入れずに見たほうが楽しめそうな気がする、から、あまり多くは語らないでおこうそうしよう。
いやー、これが実話ってんだからとんでもない… とまぁ、映画冒頭の文章にまんまと騙されてしまったわけだけど今作は完全なるフィクション。つまりノンフィクションと謳ってるそれ自体が嘘という、なんじゃそりゃ(笑)。ひたすらシリアスな話なんだけど、どこかコミカルにも描いてるというか、これぞブラックコメディ、もとい「シニカル」と言うべきか。そんでこの独特な雰囲気、どーゆー感情で見たらいいのかわからなくなってくる感じもコーエン兄弟作品なんだよなと、その「節」をようやく理解。今作を見ておくことで、その後のコーエン兄弟作品をもっと楽しめるようになるんじゃないかなとか思った次第。
いやはやしかし、この物語の行き着く先をきっと見届けたくなるはず。でもじつは全部を描き切るわけではないという、そんで大どんでん返しが待ってるとかでもないという、これも今作に於いてはいい方向に作用してる気がする。後味が、なんとも絶妙。それが良いものなのか嫌なものなのか、これは見てのお楽しみってな着地点でレビューを終えるとする。
