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ファーゴのdsk1231のネタバレレビュー・内容・結末

ファーゴ(1996年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

良い意味でのチグハグ感を演出する技巧派映画。


計画通りに事が進めば、誰も傷付かず、誰にもバレず、身代金を分けあってチャンチャンのはずだった。
しかし。小さなボタンの掛け違いは少しずつ大きな誤差となり、いつの間にか、誰も望まないうちに、複数の死者を出す凄惨な大事件となってしまう。

大まかなストーリーはまさしくサスペンス映画に他ならないが、急展開のない構成は内容に似合わず緊張感を感じさせない不思議な作品。
そもそも登場人物もどことなく抜けてたり噛み合わなかったりと、とにかく格好がつかない。

これをある種の「味」として楽しめるなら、この映画は面白いはず。

やり手の刑事であるマージも、普段の会話はどことなくボヤけてる。実行犯の二人組もちぐはぐ(最後は仲間割れ)。主犯であるジェリーも営業部長は名ばかりの冴えない中年。雪が積もる白銀の世界を舞台に、そんな締まりのない雰囲気のまま話は進むが、突如そこに鮮血が舞うなどドキッとさせてくれる一面も。

結果的に複数の死者を出したこの大事件の犯人を逮捕した夜。マージの旦那(こちらもあまり冴えない)の絵が切手に採用されたという、明日には忘れてしまいそうな会話で幕を閉じるあたりもこの映画らしい。

無駄のない研ぎ澄まされた映画こそ良い作品だと思ってましたが、これはこれでまあ。清少納言くらい感受性が豊かだったら、いとをかしの評価ですかね。
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