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君への誓いのemilyのレビュー・感想・評価

君への誓い(2012年製作の映画)
3.5
 結婚式を挙げて幸せな新婚生活が始まるはずだったペイジとレオ。不運な車の追突事故に遭遇してしまい、妻のペイジはレオと出会ってからの4年間の記憶を失ってしまう。レオはなんとか記憶を取り戻してもらおうと必死になるが、彼女の記憶の中では元婚約者への気持ちがそのまま残っており、再会を機に元婚約者と彼女は距離を縮めていく。

 実在するカップルの実話を元に映画化されたもの。二人の葛藤がお互いの目線でしっかり描かれており、お互いの切なさがひしひしと伝わってくる。どちらの思いも手に取るように分かり、両方の気持ちの交差が非常に円滑で、感情移入しやすい。彼女の記憶と彼の持つ彼女像のすれ違いを丁寧に小物使いや、表情で見せていき、細部まで丁寧に紡ぎあげている。

 ペイジを演じるのはレイチェル・マクアダムス。レオと運命的な出会いを果たし大事な物に気が付き、自分の人生観を変えて家族とは疎遠になっていた。しかし記憶を失うことで、彼女の中にまだ生きている記憶の中に生きようとする。そうして再び絶望を味わうことになるのだ。彼は彼で失った記憶を取り戻して、その空白の時間を埋めようと必死になる。そうして気が付くのだ。亡くした物を取り戻すよりも大事なのはこれからの二人の時間だと。

 何かに必死になっていると、周りが見えなくなってしまう。少し引いて物事を捉えてみるとおのずと答えは見えてくるのだ。何かを望み求める事は同時に自分自身の視野を狭くし、盲目にさせてしまう。本当にそれは大事なことなのか。大事な事はもうしっかり両手の中に持ってるのではないか。記憶を失い二人が育んできた4年間の思い出を彼女に植え付ける必要なんてない。紡ぎあげた物はいつだって簡単に壊れる。恐れる必要はない。大事なことは自分の心が知っているはずだ。壊れる事が出来るのは、何度だって作れるからだ。心に立てた誓いに忠実に生きていけばどんな逆境にも立ち向かえるはずだ。
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