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悦楽共犯者のTSのレビュー・感想・評価

悦楽共犯者(1996年製作の映画)
3.8
【快楽を得るには努力を惜しまない】80点
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監督:ヤン・シュヴァンクマイエル
製作国:チェコ/スイス/イギリス
ジャンル:コメディ
収録時間:87分
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やばい。さすがヤン・シュヴァンクマイエルとしか言いようがない。正真正銘の変態映画。6人の男女がそれぞれの欲求を満たすためにコツコツと素材を集め、モノを作っていきます。性的欲求というよりかは、それにより快楽を感じるというもの。ただし、かなり癖があり余程のことがない限り共感は出来ないはずですが、誰でもこういう変態的要素を備えているのかもしれません笑

セリフは一切なし。BGMがクラシックなのもまた笑ける。というかもうこれはコメディ映画であります。鼻と耳にモノを入れ続けないと寝れない女や、針つきの器具を全身にまさぐらせ快感を得る男など、変わりすぎてる人がたくさん出てきます。一体自分は何をみているのだろうと思うと笑わずにはいられなくて、本当に意味不明であるものの、悔しながら最高であります笑 こんなものをサクッと作ってしまうヤン・シュヴァンクマイエルおそるべし。

中盤ではヤン節が炸裂し、お得意のストップモーションアニメで奇妙なシーンを描いていきます。鳥の頭を被った男のぎこちない動きと、それにつれて痛めつけられる人形が印象的すぎます。今作に出てくる人たちは人前では明かさない性癖を持っています。ただし、自分の快楽のためには努力を惜しみません。まあでも生き物って欲求の塊でもありますから、そのベクトルが少し違っているからといって変な目では見れないのかもしれません。この状況で快楽といったら変態的かもしれませんが、それをして「落ち着く」というならば、たしかに腑に落ちるかもしれません。誰でもこれをしていたら何となく落ち着くというものがあるでしょう。

そういう誰でも備えている欲求をこれでもかというくらいに変態的に、そして面白おかしく表したのが今作であり、こんなものを作れるのは世界広しといえどヤン・シュヴァンクマイエルくらいなのでしょう。邦題も『悦楽共犯者』と、やばい名前でありますがそれに応えるくらいの衝撃度でありました。とてもオススメは出来ませんが、変わった映画を見たい方は一見の価値ありかも。
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