ぐるぐるシュルツ

ぼくの瞳の光のぐるぐるシュルツのレビュー・感想・評価

ぼくの瞳の光(2001年製作の映画)
3.6
黙ったままで何もあげられないけど、
君のそばにいて、
振り返った後部座席には、
大切な人がいる。

〜〜〜

お人好しのお雇いドライバーのアントニオが、娘をきっかけにしてシングルマザーのマリアと出会い、惹かれていく。
しかし、マリアの抱えた孤独は深い。
一体自分は何ができるのだろうか?

最初の方はストーカーまがいのアントニオにヒヤヒヤさせられて、
でも、物語が進むにつれて、
あぁ、これはアントニオができるすべてなんだと、気づいてくる。
勿論けっしてかっこいいもんじゃないんだけど。
彼はただ黙って、
ただ寄り添うことしかできない。


でも、黙って寄り添うことが仇となって、
色々な人につけこまれてきた過去があるから、
本人も葛藤・苦悩するのだけれど、
マリアの拒絶を経てからは
少しだけ変化が訪れ始める。
そして、それは拒絶したマリア自身にも。

鳴り止まない冷蔵庫の音、
自分を客体化してしまうSF設定、
雨の中聞こえない呼びかけ、
だれかを運ぶだけの仕事。
全体的に静かな世界観は好みでした。

でも、終始「タクシードライバー」とオーバーラップしたりして、やはりヒヤヒヤ。
ていうか、あなた、単純にロバート・デ・ニーロに似てるでしょ笑


オープニングとエンディングの重なり方に、ハッとしますね。
長い間、二人の顔を写しつづけたあとで、そこからのラストシーン。
これが彼にとっての「地球」だったのかも。