dm10forever

レックのdm10foreverのレビュー・感想・評価

レック(2007年製作の映画)
3.7
【シリーズ化は避けられなかったのか・・・】

既に4までシリーズ化されるほど人気となった「REC」の記念すべき(?)第1作。
そう、全てはこの作品から始まったんだよね(リメイクなんかも合わせると6作品!)。
実はレビューの順番がメチャメチャで「3」の方を先に書きましたが、観た順番自体はキチンと順を追ってみています。
で、その「3」のレビューでも書きましたが、この作品に関して言えば「シリーズ化」はしてはいけない作品だったんですよね。
それは「ブレア・ウィッチ~」にも言えることだけど・・・。

この映画はPOVという手法、いわゆる「主観撮影」を用いることでドキュメンタリーを観ているような臨場感が生まれる方法で撮られていますが、これって取っ掛かりというか必然性というか、実は結構難しいと思うんです。
発想自体は簡単だと思うんだけど、いざそれを「映画化」するとなると、ストーリーにおけるPOVの必然性というかバランスをキチンと見極めた上でやらないと、収集がつかなくなってしまうんですよね。

わかりやすくいうと、POVはあくまでも普通の人間が撮っている映像なので、ピンポイントにしか物事や事象を捉えることが出来ないはずなんです。
後ろで「ガサガサ」と物音がしたから慌ててカメラを振ったけど、もうそこには何もいなかったみたいな「不完全」な映像になるはずなんですよね。
それを、まるでそこに何かが来ることがわかっていたかのように「映像」として撮ってしまうと、POVとしての「自然さ=人間の不完全さ」が壊れて一気に作り物感が湧き出てきてしまう。
だからと言って不完全な映像だけ2時間観せられて、それを「映画」と呼べるか?ということにもなる。
だからある程度の「撮れ高」も必要になる。
そうやってその作品に「POV」という手法を用いる『必然性』と『映像とストーリーのバランス』を考えて作らないと、結果的にどっちつかずの中途半端な映像が残ることになる。

そういった意味では、今作のカメラの必然性を「密着取材するTV局のカメラマン」に持たせたことは正解だったと思う。
日頃からカメラに関する知識だけでなく、撮影に関する技術などに長けている人間が撮っていると認識させることで、ある程度の無理が利くし、それでいて現場にいなければ撮ることができない臨場感溢れる映像も「カメラマン」として上手く表現されていた。

その上でのこの作品の評価なんですが、怖かったです。
POV云々もそうなんですが、シチュエーションとして、建物から1歩でも外に出れば普通の世界が広がっているはずなのに、このマンションだけが地獄と化しているという非日常感が見事に表現されていました。
感染源も感染理由も感染速度も何一つわからないままパニックに巻き込まれていく感覚はPOVの臨場感をフルに生かした作品だったと思います。

・・・ただ、オチがね。

ローマ?宗教?悪魔?

あぁ・・・やっちゃった・・・。
そっちに行ったら後戻りできないよ。

ホントにホントに、このオチを除けば一点の曇りもなくもっと高得点をつけました。
そしてこのオチが、後に続く「一気に急降下するジェットコースターシリーズ」の幕開けになったんだという記憶がインプットされました。
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