面白かった!
世界中の民衆が好きな「ユニークな下克上物語」ではなく、ビリーという決して綺麗ではない1人の人間ドラマとして仕上げているのが本作の凄いところ!
野球人の勘ピューターではなく、データ分析野球で歴史を塗り替えた実在の人物ビリー・ビーンの半生を描いた物語。
金のあるなしで強弱が決まってしまう世界をアイデアで覆す典型的な下克上ストーリーだが「たった一つの冴えたやり方」ではなくでむしろ緻密で柔軟な分析と統計で構築されていて、カタルシスはほとんどない。
だが、ビリーという男のキャラクター、もっと言ってしまえば時折見せるウィットさと突き進む強さに心が揺れる。
自球団のゲームは見ず、カードのように選手をトレードする。冷酷で斬新な手法を好み、歯に絹着せぬ物言いで押し付ける嫌な管理職像がビリーだ。
しかし、終盤明かされる彼の冷たさの理由や、球団への想い、野球への情熱などどんどんと複雑なキャラクターとなりラストに結実する。
この世界をひっくり返す偉業と繊細な人間ドラマをバランス良く見せてくれる演出は素晴らしい。
そしてその大部分を担っているブラピのバランス感覚と魅力が爆発してる!セブンでも既に化物級だったけど、もはや神の領域に足を踏み入れているのでは?
誰かと話すときの目力と、車を一人走らせるときの迷いの仕草の違い。トレーダーの時に見せる1mmも選手の事を考えない躁状態な演技。
口で演技する味付け(よく分からないお菓子を口に突っ込んでは吐き出す、マジックのキャップを口で開けて吐き出す)などなどブラピ天才感をビシバシ感じる作品になっている。
ブラピ好きなら観なきゃダメな一本!