タカ

学校の怪談のタカのレビュー・感想・評価

学校の怪談(1995年製作の映画)
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一生観返す映画、一生付き合う映画
あなたにとってそんな映画はありますか?

映画が面白いのは
どんな作品でも何かを感じ、何かを考えてしまうそういうところ。
時にはマイナスの感情を抱きながらも、それは確かにその映画を観た結果であって……
逆にひとたび気に入れば、その映画が放つエネルギーに心が躍りっぱなしとなる。
大好きな映画と出会った時、その幸せは何事にも代え難い。

さらに面白いのは
性別、年齢、思想、価値観、立場、etc
様々な要素で感じ方がまったく変わるということ。
誰かと映画を一緒に観てもまったく同じ感想を抱くことなんてごくわずか。
何なら同じ映画でも自分の状況が変われば、感じ方は一変する。

じゃあ、もし…
幼少期に出会った映画がたまらなく面白かったら?
年齢を重ねて立場や価値観、それに見え方が変わっても、それでもなお大好きだとしたら?
何度観ても変わらず幸せだと感じられる映画だとしたら?
それは、とてもとてもステキなことだと思いませんか?

私にとってそれが、、、
『学校の怪談』なのです。


私が幼少期の頃はオカルトブームと言われる頃で、テレビで放送される番組は『木曜の怪談』、『特命リサーチ200X』、海外ドラマ『Xファイル』などなど
今思えば、胸熱すぎるラインナップなのですが、小学生にも満たない子供にXファイルを見せていた家庭は相当に変わっているんじゃないでしょうか(笑)
でもそのおかげでアニメキャラクターと同じように"モルダー"、"スカリー"を認識し、B'z大好きな幼稚園生が誕生するわけです。

その頃に出会った映画が『学校の怪談』
映画前に高島忠夫さんの解説が流れ、途中でバザールでござーるのCMが流れるVHS
それを擦り切れるほどにボロボロになるほどに観返していました。
怖いものに興味をそそられ、ホラー映画を人一倍楽しむ。
今の私を形作ってくれた大きな要素の一つです。

画面の中に映る少年少女より年齢の低かったあの頃
感じていたのはお化け屋敷に入るようなドキドキ感
学校という未知の舞台で起こる恐ろしい出来事を怖がりながら観ていたなぁ
ほんの一瞬しか登場しない口裂け女が脳裏にこびりついて離れなかった。
都市伝説の中でも口裂け女にダントツでビビっていたことは言うまでもない。

年齢を重ねるごとに関心は移ろっていく
姉妹、双子の兄弟。二組それぞれの絆
年上の女の子に抱くピュアな恋心
歪み合っていた二人の友情
みんなと一緒に学校に行きたい少女の想い
ワクワクしてドキドキしてクスッと笑って最後にほろっと泣かせるストーリー
自身の成長とともに夏の一夜の冒険を、その意味合いとともに楽しめるようになった。

ついに映画の子供たちの年齢を追い越した頃
興味が向けられたのは音楽、セリフ、演出などのディテール
劇中で流れるメロディは各シーンにピタッとはまり、EDの楽曲は爽やかで楽しくて悲しくてウキウキさせてくれる表現の玉手箱
「それが愛ってことでしょうが。分かる?」→「分かんない」
ピリッとしたセリフが飛び出したと思いきや、即座にとって切り返すぬけ感たっぷりの雰囲気
ワードセンスに溢れた掛け合いが大好き。
通常の流れだと一番始めに持ってくる行動を違和感なくラストに組み込む粋すぎる演出
あの終わり方はキレイすぎてたまらない。

小さい頃からずっとそばにいた映画
映画館で観ていないことがずっと残念で
もう一生叶わない望みなのかなと半ばあきらめていたけど
思いがけずスクリーンでの対面が叶った
35㎜フィルムが映し出す映像は味も雰囲気もバッチリで
心が震えて感動しっぱなしだった
すばらしい余韻に包まれて
映画にも上映館にも感謝の気持ちでいっぱい
どうもありがとうございました

最後に…
25周年おめでとうございます
そして、これからもどうぞよろしくお願いします。
タカ

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