こたつむり

ダークマンのこたつむりのレビュー・感想・評価

ダークマン(1990年製作の映画)
3.7
★ 今日もどこかでダークマン

あれは誰だ?誰だ?誰だ?
あれはダークマン(ダークマン!)
“裏切り者”の名を使い、全てを捨てて戦う男。

…なんて歌いたくなるほどに。
ダークヒーローまっしぐら。
…なのですが、ヒーローと呼ぶにはちょっと抵抗がありますね。何しろ《ダークマン》は私怨を晴らすために闘う存在。まかり間違っても正義の味方ではないのです。

そもそも、彼は“火傷を負った患者”のために人工皮膚を研究していた科学者。しかし、思わぬトラブルに巻き込まれ、不運にも自分が激しい火傷を負ってしまうのです。そして、彼は人工皮膚をまとって復讐を遂行するようになります。

だから、確実にヒーローではなく。
バットマン以上に“闇の存在”と言えるでしょう。それなのに作品全般的にアメコミヒーローっぽい雰囲気が漂うのは…確実にサム・ライミ監督の趣味ですね。

また、アクションは特撮風味満載。
昭和の香り(1990年の作品なので平成ですが)がプンプンするのです。勿論、映像だけではなく、脚本もかなり強引な展開。それがより一層、アメコミっぽさを強調していました。

主人公を演じたのはリーアム・ニーソン。
自分の中では『96時間』の印象が強い彼ですが…既に風格が漂っているのがスゴイと思いました。本作の時分はブレイク前だったと思うのですが…やはり、スターは若かりし頃から違うのですね。

そして、彼が演じたからこそ。
主人公の哀しみがより一層伝わってきたのだと思います。ちなみにダークマンは『オペラ座の怪人』をモチーフにしているのでしょうが、個人的には《バオー来訪者》を連想しましたよ。

まあ、そんなわけで。
確実にB級…しかもサム・ライミ監督の外連味が前面に押し出された作品。それを承知の上で鑑賞することをオススメします。

それと個人的な話ですが、真正面から「正義の味方!」と胸を張った作品が眩しく感じる年頃になったので…背中が煤けた本作くらいが丁度良かったです。

監督さんが手掛けた『スパイダーマン』シリーズもそうですが、抱えたものが大きければ大きいほど共感が出来る…というのも僕が歳を取ったからでしょうかね。ちなみに主人公の決め言葉は最高でしたよ。
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