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死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ
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死の天使 ヨーゼフ・メンゲレの作品紹介

死の天使 ヨーゼフ・メンゲレのあらすじ

第二次世界大戦中、アウシュヴィッツ収容所で戦慄の実験を行った医師ヨーゼフ・メンゲレ。<死の天使>と呼ばれた彼は終戦後、南米で潜伏生活を送る。ナチス時代の仲間たちが次々と捕まる中、彼は戦犯を追求するモサドの網を狡猾にくぐり抜け、歪んだ思想を持ったまま、日常の世界に溶け込んでいく。

死の天使 ヨーゼフ・メンゲレの監督

キリル・セレブレンニコフ

原題
Das Verschwinden desJosef Mengele/The Disappearance of Josef Mengele
公式サイト
https://transformer.co.jp/m/shinotenshi/
製作年
2025年
製作国・地域
フランスドイツ
上映時間
135分
ジャンル
ドラマ歴史
配給会社
トランスフォーマー

『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』に投稿された感想・評価

[戦後も生き延び続ける"悪"について] 60点

キリル・セレブレンニコフ長編11作目。『LETO』以降毎回コンペに入っていたセレブレンニコフも遂にカンヌ・プレミエールとかいう旨味の少ない部門に格下げされてしまったのが残念でならないが、内容を鑑みると納得してしまう。本作品はオリヴィエ・ゲーズによるノンフィクション小説『ヨーゼフ・メンゲレの逃亡』を映画化した作品で、主人公が"死の天使"ことヨーゼフ・メンゲレなのだ。物語はあくまでメンゲレ目線で進む。戦時中から戦後も死ぬまで強烈な人種差別主義を曲げず、アウシュヴィッツでの人体実験や虐殺を反省することはなかった。南米の各地を逃げる挿話が時系列を乱して語られるが、時系列がバラバラにも関わらず、その本質はどの瞬間も変わらず、最期まで変わることがないのが心底恐ろしい。しかし、それはメンゲレ一人だけの問題ではない。西ドイツ初代首相コンラート・アデナウアーの後ろには、ユダヤ人たちに星を身に付けさせるのを義務付け、改名強制のアイデアを出したハンス・グロプケがいた。メンゲレの実家は田舎の産業を牛耳り、戦後も戦時中から変わらない生活を続け、逃亡するメンゲレに弟の未亡人を充てがい、資金援助までしていた。作中で描かれてはいないが、冷戦の枠組みの中で有用だった人物たちは、ナチス時代と同じ仕事を続けていたこともあった。それらは決して捕まらないメンゲレと同じ、時間が経っても生き延びる"悪"なのだ…とは言いたいものの、ちょっと共感させたいのか?というような演出もあり、何を目的に作られているのかは正直見えにくい気がしている。

モノクロで描かれているのは、彼がその世界を灰色に見ているからであり、アウシュヴィッツ時代の記憶はカラーで思い出されるのには背筋が凍った。彼にはあの時代が、輝かしく色付いた時代だったのだろうと思うと心底恐ろしい。モノクロ撮影も、特に1977年に息子ロルフが父親を訪れる挿話における陰影の描き方が印象的だった。ただ、これまでのセレブレンニコフの連続的でアッパーな陰鬱さを持った作品とは真逆の、不連続で湿っぽい話なので(題材的にアッパーにされても困るが)、セレブレンニコフっぽさはあまり感じられなかった。どの時代においても変わらないということを不連続さが逆に強調している薄気味悪さはあれど、語りの不親切さの方が目立っていたように思う。前作『Limonov』はこれまでのセレブレンニコフ的な連続的な時間経過が何度か登場し、過去をモノクロ、現代をカラーにして時系列順に描いており、映像表現でも対になっていると思うが、流石にうろ覚えなので要確認。
3.5
【戦争はまだ終わっていない】
動画版▽
https://www.youtube.com/watch?v=6Jm-bfmKfdg

鬼才キリル・セレブレンニコフの新作"The Disappearance of Josef Mengele"が邦題『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』として2026/2/27(金)より公開される。ここ最近のキリル・セレブレンニコフはいわゆる悪寄りの人物を異なる視点で斬り込んだ伝記映画をよく制作している。これに関しては、Cineuropaのインタビューにて意図したものであると語っており、善悪の区別が曖昧となりプロパガンダの罠に陥ってしまうことへの警鐘となっている。

最新作『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』は、オリヴィエ・ゲーズ「ヨーゼフ・メンゲレの逃亡」を原作とした内容であり、アウシュヴィッツで収容所での虐殺に加担した後、南米に亡命した意思ヨーゼフ・メンゲレの人生に迫った内容となっている。本作は、「ヨーゼフ・メンゲレの逃亡」だけでなくジョナサン・リテル「慈しみの女神たち」も参照しており、加害者の目線からホロコーストを捉えたものとなっている。そんな『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』を試写で観させていただいたのでレビューをしていく。

『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』は、キリル・セレブレンニコフのフィルモグラフィーの中でも落ち着いた作風となっている。彼の作品は異なる質感のイメージをアクションペインティングのように激しく並べたり、シームレスに遷移させることで精神や社会の混乱を表象する傾向がある。しかし、本作では第二次世界大戦後をモノクロ、第二次世界大戦中をカラーで描くシンプルなアプローチとなっている。それにより、「戦争はまだ終わっていない」といった言葉が強固なものとなり、南米でいつ捕まるかわからない不安を抱えながらも「俺は間違っていない」とホロコーストを輝かしい青春のように捉えるグロテスクさが際立っていくのだ。ここで注目なのは、アウシュヴィッツ第二強制収容所のプラットフォームに無数のカバンが積み上げられたカラー映像である。アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館へ行くと、当時の写真が多数展示されているのだが、そのうちの一枚をカラーとして再現したような場面となっている。その写真もまたプラットフォームにカバンが積み上げられており、将校がさも日常化のようにルーティンをこなしている様を捉えたもので、圧倒される怖さがある。それをノスタルジックな淡い色彩とフィルムの質感によって輝かしい想い出のように挿入されるのである。この場面に戦慄した。

『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』を観ると、ナダヴ・ラピド『イエス』やアルベール・セラ『パシフィクション』に近い印象を受ける。現代社会が映画のようにナラティブが最適化され、物語に押し込められているような空気が流れている。そんな中、アート映画は本来人間が有する時間、間延びした時間にフォーカスをあて、人間の本質、人間心理を捉えようとする動きがきている。『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』では、いつ捕まるかわからない中、過去を引き摺り、日常が続いている様を主軸としており、興味深いものがあった。

日本公開は2026/2/27(金)シネマート新宿、シネスイッチ銀座ほか全国公開