健一

唐山大地震の健一のレビュー・感想・評価

唐山大地震(2010年製作の映画)
4.5
東日本大震災からまもなく丸10年が経ちますね。
えっ!もう10年。と感じる方もいらっしゃるかと思いますが、私には長い10年でした。
2011年3月11日。
この日あの瞬間。『自分が何をしていたか?』というのは恐らく皆様 鮮明に覚えていらっしゃるのではないかと。
ちなみに私は 当然仕事をしていて 電車も止まったので 夜7時に職場を出て歩いて帰宅。自宅に着いたのは夜の12時。5時間 歩きっぱなしでした。

本作は2010年の夏に 本国中国🇨🇳で公開された作品。
中国初のIMAX作品。実際の震災を舞台にした感動作品で 中国では当時『中国映画歴代No. 1』になるほど大ヒットを記録。
日本でも 翌2011年3月26日に全国拡大公開される・・・
はずでした。
しかし 11日に起きた大震災。
公開出来ませんよね? あまりにもリアルタイム過ぎて。当然 公開中止になってしまいました。
しかし 4年後の2015年。規模は小さいですが奇跡的に劇場公開してくれて 劇場へ駆け込みました。

もう死ぬほど大号泣しました。
作品の素晴らしさもさることながら 色々な事を思い出しながら。
母から息子へ、娘へ。
子供達から母へ。
辛い体験をしたからこそ!
深く抱いた 愛の名作です。

40万人以上の死傷者を出した 中国🇨🇳唐山大地震。その一家も渦中にいた。
娘と息子が深い瓦礫の中に埋まってしまい 姉弟のうち一人しか救出することが出来ない状況の中で母親は 断腸の思い で息子を選ぶ。
しかし奇跡的に娘も命を取り留めており 娘はその後 義父母のもとで スクスクと成長していく。
同時に実の母は娘を見殺しにしてしまった罪悪感を抱えながら残された息子を懸命に育てていた。
32年後。 時を経て離れて生きてきた母子の運命が動き出す。

もうこの映画観て泣かない人なんているの!
と 言いたいくらいの悲劇、運命のいたずら の連続。
でも実際に似たような経験をされた方がいらっしゃると思うと胸が痛いです。中国の震災でも 10年前の震災でも。
震災の恐怖を描いていると同時に 被災された方々の絶望、不条理な事への静かな怒り、立ち直っていく姿、再生の物語。
その当事者の人間模様が熱く胸を打つ 力作です!

ちょっと残念だったのは中国映画特有というか。
とにかく 編集がめちゃくちゃ荒い。
でもこれ。製作陣の意思とは関係なく 当局によって編集され シーンがカットされているような気がします(お国柄の事情で。)

『今、この時期に。』というともしかしたら不謹慎なのかもしれない。
ただ あの出来事を風化させない為にも 本作のような作品を観て思い返さなければ とも思う。


劇場公開時 2015年3月17日
東 劇 (東京都 中央区 築地)
💺435席
客入り ガラガラ😭。
健一

健一