塩辛亭ショッパイ

お引越しの塩辛亭ショッパイのレビュー・感想・評価

お引越し(1993年製作の映画)
4.1
ありえないほどの輝きを放っている田畑智子のデビュー作。まさかこの子が将来的に〝かぼちゃを切ろうとしたところ、手を滑らせて手首を切ってしまう〟なんて!!な程まばゆい輝き。
両親の離婚を受け入れられない智子ちゃんが、再びふたりをくっつけるために大奮闘!? といった話かと思いきや、かなり切なくもヘヴィーな内容だったことに驚く。幼いひとり娘からすれば、両親の離婚は不条理きわまりない現象なのだ。一体どうしたらこんな健気かつ正義感あふれる娘に育つのかわからん。
そして、祭りで森に迷い込むあたりから急に芥川賞小説チックな純文学風オーラ(語彙不足)を纏い出し、また驚く。あの「おめでとうございま~す!」の解釈についてはその手の学者に研究を進めてもらうとして、いち観客の私はただ「これは…只事じゃねぇ!」とその映像に圧倒されるのみである。

どうにもならない不条理を受け止め、受け入れる。この映画のコピー、「生んでくれて、ありがとうで ばかやろう」が作品の全てを少女目線で言い表していて、素晴らしい。そんなこんなで田畑智子さん、ご結婚おめでとうございま~す!
塩辛亭ショッパイ

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