塩辛亭ショッパイ

怪物の塩辛亭ショッパイのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

 数々の子役たちを世に送り出してきた是枝監督。「誰も知らない」の柳楽優弥からのスターたちを全員集合させたらジャニーズみたいな一大勢力なるんちゃうか。大御所柳楽さんはマッチさん。

 そんな全員名演の是枝チルドレンのなかでも、本作で依里役を務めた柊木陽太くん、激ヤバすぎない? 

 純粋無垢な少年にみえるのに、どこか憂いを帯びていて、だけどその正体が何なのか分からない。子供のはずなのに只者じゃなさそう、そんな雰囲気が常時出てるかつ、同級生に宇宙人とあだ名を付けられるのに納得感も持たせてくる。自分で書いてても何がなんだかよくわからん……こんな難しい役ありまっか? 神秘的。天才すぎる。

 ラストシーンで駆け出してゆくふたり。いつも長袖長ズボンだった依里のアザは消え、身なりもかわって。ただそこにはふたりだけの世界。死後の世界だとかそうじゃないとかはもはやどうでもいい、そんなカタルシス。

 いわゆるLGBTもの?というのはこれまでも何作かみたことあったが、小学生ほどの年少の子が〝自覚する〟ところから描いた作品は初めてみた気がする。

 全員名演のなか、ぶっ飛んだ芝居をみせつけた柊木くんは、screenのインタビュー取材で自身の役についてこう答えている。

ーー依里は確かにふわふわして何を考えているかわからない子でした。難しい役だったのでは?

「難しいと思ったことはないです。いつもどんな風に演じようかなと考えているので、難しいと思うことはあまりないんです」

 この子こそが役者界のモンスター。怪物みーつけた。

※本の誤植をわざわざ出版社に指摘する瑛太の先生役、いかにも坂本裕二脚本ぽい
塩辛亭ショッパイ

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