塩辛亭ショッパイ

ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりからの塩辛亭ショッパイのレビュー・感想・評価

3.2

 粗々の粗。アラアラのアラでございま〜す。

 何がって、脚本が。

《学生時代に一目惚れして結婚。SF作家として成功した夫は、ある朝、目覚めると〝もう一つの世界〟にいた。そこには多忙がゆえに蔑ろにしていた妻がピアニストとして成功し、自分とは別のフィアンセもいる世界線。現実世界への戻りかたもわからず、自分のことを知らない妻──。ようやく彼女への愛情に気づいた夫がとった行動とは?》

 思い出しながら自分なりにあらすじを書いてみた。一見何だか面白いように見えるが、それこそが落とし穴なのかもしれない。「面白そうなの全部足してみた」のもとに作品が作られていったとしか考えられないほど話がテキトーに思えたからだ。

 たとえば、あっちの世界線で「妻が成功したピアニスト」である必要はあったのだろうか。キャラが違いすぎる。もはや別人。
 元の世界の妻がよく夫に作っていた〝デコったパンケーキ〟が、のちに重要なアイテムとして再登場するわけだが、おそらく現妻にそんなお菓子作りの趣味はない。いいレストランからウーバーイーツさせてワイングラス傾けてそう。婚約者役もふたりの恋路を邪魔する“ザ・恋敵“としての記号的役割しか果たしていないのもどうかと思うしな。

 そして、これは指摘しておきたい。
 本編で重要な鍵を握るSF小説「ゾルタン」、ストーリー自体はほぼ説明されていなかったが、あれは駄作だと思う。

 ラストシーンで敵に囚われた軍の諜報員(だっけ?)カップル。筆者である主人公はこのふたりの「どちらが銃殺されるか」で頭を悩ませていたが、ラストシーンにも関わらず、2択のうちのどちらでも話が通じるって時点で、きっとおもろい話じゃない。…よね? むしろ読ませてくれ。

 よくよく考えたら無茶な設定がたくさん散りばめられているこの映画、「あなたは何個みつけられましたか?」的視点で楽しむのがいいかもしれない。
塩辛亭ショッパイ

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