塩辛亭ショッパイ

コーダ あいのうたの塩辛亭ショッパイのネタバレレビュー・内容・結末

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

すごッ…凄すんぎぃ〜いん!!!!

人生トップ10に否応なしに入り込んでくるお客さま満足度トップレベルモンドセレクション金賞アワードベストオブザ大賞ヌーボー解禁!! あまりに良すぎてこの先、ヒューマン映画不感症になってしまうんじゃないかと心配にすらなった。

王道進行ながら、話運びが冴え渡っている。序盤の何気ないシーンが後半の最高のシーンへのフリとして効いてくる。その助走からして完璧だ。

印象に残っているのでいえば、

主人公の娘・ルビーを学校まで送る父が校門前で車で爆音ヒップホップミュージックを流し「ラップは最高だ。ケツがズンズン振動する」

発表会の後に父が「俺にだけ歌ってくれないか?」で喉に手を当てさせる

家族を人前に出すのを恥ずかしがるルビーの思春期心を描くと同時に、周囲を気にせず堂々と生きる家族を表現した序盤のシーンは、父が後半に「音を感触、触覚で感じる」ことの前フリに。

ルビーが家に友達を連れてきたところに母が用事を頼む場面で、兄がサラッと「放っといてやれよ、友達と一緒だ」

家族のために「やっぱ大学いくの辞める」と夢を諦めたルビーに兄が「家族の犠牲になるな」キレながら訴える

その後エッチな展開が繰り広げられる兄と女友達との出会いのシーンでありながら、妹へ配慮をする兄だということを序盤にチラつかせることで、「ここにいちゃダメだ永遠に(家族に)頼られちまう」と意見する人物だとの納得感に厚みを持たせている。

ワンシーンが多層的に意味を持っていることにいちいち感動した。
そもそも話全体を通してセックスSEXとありえないほど下ネタが出てくるのも、ストーリーにポップさを持たせる役割をしながら、彼ら家族にとって触れ合うことが何より大切な愛情表現だということを雄弁に語っている。

演出もどれをとっても良すぎてマーベラス。

歌の発表会のシーンで家族に視点が変わり、無音になった時間。私が鑑賞していた満員の映画館も、完全な無音に包まれた。全員が息を呑むという言葉の意味を初めて実感し、共有していたと思う。

とか、なんとかあるが、結局は……ああーー!!全員キャラ立ちハンパない!! 

家族の面々は言わずもがな、V先生のキャラクターも完璧。ルビーと恋仲になった彼との関係も今後どうなっていくのか余韻残しまくってて震えちゃう。


ラストシーンで家族と遠ざかっていくルビーが家族に向けた手話。意味を調べたら「本当に大好き」らしい。サイコーにストレートな表現をサイコーの感動に昇華させた。そんなサイコーな映画に出会えてサイコー! グワシ!!(©︎楳図かずお)
塩辛亭ショッパイ

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