円柱野郎

星を追う子どもの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

星を追う子ども(2011年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

序盤に描かれる日本の田舎の風景。
それがいつでどこなのかは全く分からないけど、まさに"あの頃"と思えるちょっと昔の情景。
このさじ加減は「ああ新海作品だな」と思えるものだけど、地底世界に行きだすと…さて、見え隠れしていたジブリっぽさが一気に噴出してくる。
そう見えるのはキャラクター造形や美術デザインが、あまりにもジブリのイメージに近いからだけど、それが話として生かし切れているのかというと微妙。

大きな世界観が出来上がっていて、それを横断していくという筋立てなのだけれど、器の大きさに対して描写が断片的な感じで、様々に場面は変わるけれど全体的には駆け足な印象が強い。
悪く言えば説明不足だし、類型的なキャラクター設定は、各々に役割を演じてはいるものの深みがあまりない感じ。
それでも背景美術やデザインの綺麗さで何とか見せられるのだけど…、ジブリっぽいということが新海作品の魅力ではないと思うんだがなあ。

死生観とか、少女の憧れ的なものといったテーマはあるけど、この映画で描きたかったのは世界観だけなんじゃ?と感じてしまうのだから物足りない。
声優に入野自由や島本須美まで使って、ますますジブリを意識しすぎな感じだけど、これだけではただの"もどき"になってしまうんでは…。
円柱野郎

円柱野郎