Carroll

ディセントのCarrollのレビュー・感想・評価

ディセント(2005年製作の映画)
5.0
地底人が出てくるホラーかと思ったら違いました。いや、地底人出てくるホラーなんだけど、そんな甘っちょろいシロモノじゃなかったです。気軽に見るんじゃなかった。
心をえぐられるような、観終わった後にズシンと胸に重しを載せられたようなかなりハードパンチな映画でした。

仲良し女6人組は傷心の主人公の為、洞窟探検を企画する。しかし、そこには謎の生命体がっ!←こう書くと藤岡弘探検隊みたい

ホラーだからある程度覚悟はしてたけど、音でのびっくり演出が多い。ビビりには辛いです。 
冒頭のシーンでの陰鬱な空と女子ーず(たぶんアラサー)のテンションの対比がこれから起こる事を象徴しているようでワクワクさせてくれる。雄大な自然をぶっ飛ばして走る二台のSUV。アウトドア好きにはたまらない映像でしょう。しかもこれから洞窟探検、ホラー映画でなければよかったのに・・・。

さていざ地底旅行へ!でも洞窟って閉塞的です。一歩間違えれば命にかかわるような危険と隣り合わせです。だから怖い。それに僕閉所恐怖症なんだなって映画観てはっきり分かりました。化け物とかよりもまず人一人通れるかどうかの穴とか想像しただけでイヤーな気持ちになりますもん。そんなシーンももちろん登場。そんじょそこらのスプラッター映画や心霊映画とはまた違ったホラーを感じさせてくれます。ゾクゾク。
また彼女たちの動きみてると「あ、このひとたち素人じゃないな・・・」って感じるシーンがちらほら。そりゃ自分たちだけで洞窟潜っちゃうくらいだからそうなんでしょうけど、にしても並の技術じゃない。なかなかの高等技術持ってます。
でもそんな彼女たちでも自然の力にはかないません。なんやかんやのハプニングが起こって事態は急変していきます。そして女子ーずの絆にも少しずつヒビが。

さて物語中盤からは皆さん期待しているであろう地底人の登場です。一糸まとわぬその姿はかなりワイルド。
またかれらの出現で女子ーずの団結力はさらに失われていきます。人間の友情ってもろいんだな。でも一方で逆に覚悟を決めた人間ってものすごく強いんだな。って感じさせてくれます。
だって普通太刀打ちできないでしょ、縦横無尽に壁とか天井動き回る地底ターザン相手にピッケル一本で立ち向かう女たち。それぞれどこか吹っ切れる出来事をちゃんと経験してから強くなるその姿はなかなかアガる展開です。何のきっかけもなしに無双されるよりは分かりやすくて素敵。

逃げ道なしの状況で彼女たちははたして地獄から脱出できるのか!とワクワクして先の展開が気になります。そしていつの間にかパニックホラーからアクションホラーへ華麗なる変身を遂げてます。でもそんなこと考えてる暇ないほどの手に汗握る展開、そしてトラウマをえぐるようなホラー演出。

今まで観てきたホラー映画の中で一番クるものがありました。ホラー映画が好きならハズせない一本でしょうか。ちゃんとクリ―チャーも観察できるのでモヤモヤもなし!一味違ったホラー映画をご所望の方に是非お勧めしたいです。


前半と後半の変わりようを考えるとかなり精神的にキます。エンディングの映像が辛い。

もちろんなんで特に訓練してないはずの女性が化け物相手にあんなに健闘できるんだよとか冷静に見れば突っ込みどころもたくさんありますけど、それも全部ひっくるめて楽しめる作品かなと勝手に思いました。

前半、後半で一粒で二度おいしい的な感覚が味わえます。そしてその二つを合わせたこの一本の物語として俯瞰しても楽しめる、一石三鳥な映画でした。あれ、クリ―チャー要素、サスペンス要素、アクション要素、もっと色々あるから三鳥どころじゃないかな?
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