直情的な男が13年の刑期から出所する。元ヤクザの男、三上が生きづらいシャバで必死にもがき苦しみながら生きていくお話し。
仁義を大切にする昔気質のヤクザは今の世の中非常に生きづらいと。スネに傷ある人にめっぽう優しくない世間の風当たりの強さたるや。誰しも他人事で、地べたを這いつくばりながら必死に生きようとする人間には手も差し伸べない。みんな自分を生きるのに必死だから。
しかしながら三上の周りには幸いにも素敵な人情あふれる人たちでいっぱい。身元引受人をはじめ、ケースワーカーさんや近所の町内会長さん。そして、はじめは自分の食い扶持のネタにしようと擦り寄ってきたディレクターまでもが、三上という男の魅力に引き寄せられていきます。
曲がったことが大嫌い、トラブルは腕っぷしでなんでも解決してきた男を演じる役所広司さんはやっぱり素晴らしい。うちに秘める暴力性をしっかりと表現しながらも、ほっとけない不器用さを見事に演じ切っています。
キャラクターがどれもリアルでシリアスなテーマながらもしっかりとストーリーに深みを持たせ、エンタメ作品としても楽しめます。
エンドロールが重い映画ランキングベスト10にブッ刺さってます。
