【ただの怪獣映画と侮るなかれ】
昔から名前は知っていたものの、勝手に安っぽいB級怪獣映画と決めつけて、どうにも手が出ませんでした。
ポン・ジュノ監督の作品は、オスカー獲ってから観始めましたが、今まで観た2本がどれもハズレなしということで、ようやく鑑賞。
この映画、僕はかなり好きです。監督の技量を改めて思い知らされました。
でも、思ったよりも軽いテイストの映画でしたね。
やはり怪獣のCGはかなり安っぽいですが、正直あまり気にはなりませんでした。
内容の薄っすい怪獣映画だと、怪獣のクオリティで大きく作品の出来が左右されますが、今作の怪獣はあくまでも脇役、メインは怪獣に娘を奪われた父親とその家族です。
実際の米軍による薬物流失事件を元にした作品ということもあり、環境破壊への警鐘はもちろん、それに伴うメディアの誤報と、パニック、そしてデモ、色々な社会問題が内包された作品でしたが、こういうのは今のご時世に重なるものもあると思います。
信号待ちしてる人全員がマスクしてる感じとか、まさにコロナ渦の日常そのものですね。
あのシーンめっちゃ好きです。
今作で確信しましたが、ポン・ジュノ監督はキャラクターの描き方にかけては、ハリウッドの有名監督と比べても、頭一つ抜きん出てますね。
頭の弱い主人公、アーチェリー選手の妹、大卒フリーターの弟、そして彼らをまとめる父親。いや〜面白い。
そして、こういうちょっとしたアクセントをうまく活かしたシーン作りも素晴らしいと思います。
挙げだしたらキリがありませんが、映画好きなら誰しもが、「この撮り方上手いな〜」と声を上げてしまう見事なシーンが沢山ありました。
とりあえず、観て損はない映画だと思います。
カエルとか苦手な人はキツいかも……。