円柱野郎

プラトーンの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

プラトーン(1986年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

アメリカ人にとっての“戦争”とは、ベトナム戦争以前と以後で意味が大きく変わってしまった。
「地獄の黙示録」は圧倒的な狂気の世界だったが、この作品は一兵卒の目を通じてベトナム戦争自体のリアルを描いている。
良心の意味を持たない世界が広がっている。
そこにエリアスとバーンズという対極な兵士の行動を見せることで、戦争状態とは何かを考えさせられる。
エリアスは善意(この場合は“常識的な”と言う意味)の兵士だ。
兵士としての任務を全うするが、新兵をいじめることもしないし、民間人に銃を向けることもしない。
対するバーンズは兵士としての能力こそ高いが冷酷な男。
平気で村民を射殺し、子供にすら銃を突きつける。
今の時代に生きている人間にとってエリアスが正しいことは一目瞭然。
しかしベトナムという所はそういう場所ではなかった。
エリアスが天を仰いだ時、戦争における良心など無意味だということを突きつけられる。
主人公はラストにこう語る、「俺たちは自分自身と戦っていた」「俺はエリアスとバーンズの間の子だ」と。
良心と冷酷さが対峙する狂気の世界。
そして正義だと信じていた自分たちの本当の姿。
ベトナム戦争がアメリカ人に残した傷跡が、この映画から分かるような気がする。
円柱野郎

円柱野郎