Shu

川の底からこんにちはのShuのレビュー・感想・評価

川の底からこんにちは(2009年製作の映画)
4.5
渋谷のユーロスペースにて「川の底からこんにちは」を観てきました。
上京5年目にして5人目の恋人と付き合い、5つ目の会社で働き妥協した日々を送る主人公佐和子。
そんなとき、父親が病で倒れたことから帰郷。
つき合っていたバツイチ彼氏のケンイチまで子連れで付いてきた。
佐和子は父が営むしじみ加工工場の後を継ぐことになるが、従業員のおばちゃん連中には相手にされず、会社の経営も倒産寸前。
その上、一緒に工場の後継ぎになりたいと付いてきたケンイチは工場で働く幼なじみと浮気してしまう…
佐和子はことあるごとに「しょせん中の下ですから」とか「しょうがないですよ」を使いまくる。
ダメな彼氏。
ダメな会社。
ダメな同僚。
ダメな叔父さん。
ダメな幼なじみ。
ダメな父親。
そんなダメ人間たちが一念発起してどん底から這い上がっていくサクセスストーリー…?

そんな映画だったら私は 観ない。
「所詮私は中の下の人間だ」と開き直る佐和子。
反省もしないし、降り掛かった災難をすべて受け入れる。
なんかそこが見ていくうちにかっこよく見えてくる。
この映画を気に入ったのはがんばったらうまくいくって映画じゃないところ。
ちょこっとうまくいくが所詮、中の下なのでそうたいした成果ではない。
でもみんなそうやって生きてるんだよね。
笑いの中にちょっとじんわりもあったりしてなんとも不思議な作品。
人生応援歌みたいな曲が嫌いな私はこの映画が気に入った。
主人公を演じている満島ひかりがとてもいい味を出していたので「愛のむきだし」も見てみたくなった。
変なタイトルと公式サイトに流れる変な歌で観に行こうと決心し大正解!
この水産工場の社歌が最高♪


(過去鑑賞レビューから転載:2010年05月07日)
Shu

Shu