ShinMakita

プリンス・オブ・シティのShinMakitaのネタバレレビュー・内容・結末

プリンス・オブ・シティ(1981年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

☆mixi過去レビュー転載計画(刑事・警察洋画編)

*またも無駄にアラスジ長いです。すいません。



〈story〉
ニューヨーク。市警特捜課(SIU)麻薬班の刑事たちは、強い絆で結ばれていた。最年少のダニー・チェロを筆頭に、相棒の強面ガス・レヴィや御意見番的存在のジーノ・マスコーニの他、メイヨ、ドム、マリナーロら個性的な面々が揃った麻薬班は、洒落た身なりで幾つものでかい取引をぶっ潰して成果を挙げていたため、判事たちから「プリンス・オブ・シティ」と呼ばれていた。しかし彼らは、決して聖人君子というわけではない。情報屋にヤクを与えたり、取引のカネをネコババしたり、違法行為も少なからず行なっていたのだ。そんなある日、地検検事補リック・カパリーノがチェロに接近する。カパリーノは警察汚職を取り締まる部署を任されたばかりだったが、なかなか成果を挙げられず、署内に協力者を作ろうとしていたのだ。丁度、自らの違法行為に嫌気がさし、警官としての誇りを失いかけていたチェロは、カパリーノのオファーを受けることにする。ただし条件が一つ。家族同然の麻薬班メンバーだけは売らない、というのだ。カパリーノは承諾し、チェロを地検専属の密告警官として運営していくことにする。従兄弟ニックがマフィア構成員で、悪い噂の絶えないSIUのデカであることから闇社会で信用があるチェロは、難なく汚職警官たちや彼らと繋がるマフィアたちの懐に入ることに成功する。彼らとの会話を、体に仕込んだ盗聴マイクで録音し続けるチェロ。気づけば盗聴テープは膨大な量となり、悪徳保釈業者デベネベトや、マフィア御用達弁護士ブロムバーグなど、大物を起訴できる証拠として完成していくのだった。しかし、コトがでかくなるにつれてカパリーノだけでは手に余るようになり、検事局のお偉方や、他の検事補たちもチェロを活用するようになっていった。彼らは、チェロが提示した条件なんかまるで忖度しない連中だった。特にカパリーノの上司サンティマティーノ検事は非情で、チェロの反対に耳を貸さず、麻薬班のジーノを捜査の標的にしてしまう。その結果、事情聴取に呼ばれたジーノは自殺してしまうのだった。密告者という立場に疲れ果てたチェロは任務から外れたがるが、検察は簡単に彼を手放すはずもなかった。これから一気に大物たちを裁く公判が始まり、チェロを証言台に立たせなくてはならないからだ。しかし、ブロムバーグの裁判が始まったあたりから状況がキナ臭くなっていく。ブロムバーグ側が反証証人として麻薬密売人たちを聴取していくと、その口からチェロら麻薬班の悪行の数々がわんさと出てきてしまったのだ。検事たちは、ブロムバーグを有罪にするためにはチェロを含む麻薬班全員を汚職で逮捕しないとケジメがつかないと考え始める。こうして、密告者であることが署内にもマフィアの世界にも知れてしまったチェロは、身の危険を感じながらも自ら裁かれる立場に置かれることに…

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ルメット監督の代表作「プリンス・オブ・シティ」です。二時間半以上の長尺を緊張感たっぷりに描いた汚職警官モノの金字塔的作品。トリート・ウィリアムズの熱演が光りましたねー。善悪の間で苦悩する警官たちのリアルな生態がここにあります。非道な検事たちとは対照的に、チェロに同情し自ら逮捕されるマフィアがいたりと、人間白黒で分けられないなぁなんて考えこんでしまいました。超オススメの一本。観るべし!
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