うにたべたい

イナズマンFのうにたべたいのレビュー・感想・評価

イナズマンF(1974年製作の映画)
3.5
イナズマンの続編・イナズマンFの劇場版。
1974年東映まんがまつり上映、12話『幻影都市デスパー・シティ』のブローアップ版です。

イナズマンFは、視聴率低迷に悩んだ制作陣が大幅テコ入れしてタイトルも新たにスタートしたイナズマンで、作品の雰囲気もメインキャラもイナズマンと大きく変わっています。
超能力を操る少年同盟は完全にフェードアウト、レギュラーキャラの大木姉弟や豪作もFでは登場しません。
代わって、インターポールの捜査官・荒井誠が、五郎のバディのような存在となり、ギャグ要素は排除され、シリアスで男臭い作品となっています。
第12話の本作は、捜査官・荒井誠の過去が明かされる一話で、結構、初心者お断りなところがあるかもしれないです。

タレコミを受けてデスパー軍団の輸送トラックを襲った五郎と荒井は、返り討ちにあってデスパー戦闘員に銃撃されるという、なかなかショッキングなシーンで始まります。
ガッツリ撃たれるのですが、そんなものものともしない二人は、戦闘員をぶん殴るとトラックの積荷を改めます。
だが、積み荷の中に入っていたのはコーヒー豆でした。
弾薬輸送の話はガセだったかと考えた二人の前に、謎の女性が現れる。
彼女がいうには、この積荷はデスパー・シティの食糧で、そこには何万という人々が、デスパーに管理されながら生きているという。
銃撃され、サイボーグの体を破損していた荒井は、重要なパーツ調達と、デスパー壊滅のためにデスパー・シティへ乗り込む、という展開です。

そこに住む人々は、デスパーの気まぐれのように殺され、催眠光線を受けてサイボーグに改造される。
恐ろしき都市デスパー・シティですが、荒井もまた、そこの住民だった。
デスパー・シティで断片的な記憶を取り戻した荒井は、生き別れになった妻と娘を助けることを決意します。
また、デスパー・シティを収めているのはデスパー軍団幹部のサデスパーで、本作はサデスパーの登場回でもありますね。
内容盛りだくさんで、唐突な感じがありますがテンポの良い名作回だと思います。
ただ、デスパー・シティが崩壊したようなこともなく、荒井の家族の件も、サデスパーとの決着も、本編に続くという終わり方なので、見るなら本編を観るほうがおすすめですね。