山岡

シブがき隊 ボーイズ&ガールズの山岡のレビュー・感想・評価

2.5
森田芳光監督のメジャー2作目が初のディスク化。

内容は、シブがき隊演じる高校生3人組が東京の全寮制高校を抜け出し、静岡の伊東市でバカンスを楽しむ。地元の女の子3人組と出会い、グループデートを重ねてイチャイチャして、そして電車で帰る…というマジで身も蓋もない話。言ってしまえば、全国の地方在住のシブがき隊ファンの女子の「もし私の街にシブがき隊が来たら…?」という妄想を具現化した擬似デート映画である。

メンバー3人のお相手となる地元の女の子3人組は無名若手女優。そのうちの1人、民宿の娘あゆみはモッくんに一目惚れされて交際をスタートさせるのだが、フッくん、ヤっくんの相手はなんとあみだくじによって決定する。初めは展開の雑さに驚いてしまったが、よくよく考えてみると、これはファンの女子がスムーズに擬似デート設定を飲み込むための作戦だったのだと思う。地方に住むファンの女子にとって、シブがき隊に一目惚れされるのはあまりにもリアリティに欠ける。が、あみだくじで恋人を選ぶのであれば自分にもチャンスがあるかもしれない…自信のない思春期の心理を突いた巧妙な設定である。
当時この映画を観たファンは、彼らと海で遊んだり、家まで自転車で送ってもらったり、別荘でイチャイチャしたり…登場人物の女子3人組と自分を重ね合わせて妄想を楽しんだのであろう。

また、音楽的にはほぼ全編でシブがき隊の楽曲が使われており半ばプロモーションビデオのような印象すらある。こちらもファンを大いに満足させたに違いない。

このように、シブがき隊のファン向けの映像作品としては申し分ない内容の映画である。

しかしながら、シブがき隊のことをよく知らない人間にとっては、大したストーリーもなければ演技もド下手、音楽も最悪ということで、かなりキツイ作品であることは間違いない。

クライマックスの別荘での結婚式の夢のシーンやコミカルな脇役の存在感に森田映画らしさを感じとることもできるが、音楽が壊滅的にダサいのでストレートに楽しめる人はかなり少ないと思う。
山岡

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