青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ないの山岡のネタバレレビュー・内容・結末

青春ブタ野郎シリーズの劇場版3作目であり、原作の第9巻の映像化作品。ストーリーは…暫く疎遠となっていた母親との関わりに悩む咲太が世界中の人々から認識されない存在となり、人々からマルチバース世界に迷い込むというもの。

個人的には劇場版2作目『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』の尺的にも物語的にもミニマルなところがとても好きなのだが、映画的なフックとなるSF要素が希薄だったので物足りなさを感じた人もいたと思う。一方、本作ではマルチバースというSF要素を使った展開がしっかり用意されており、それなりに華やかな劇場版らしい仕上がりとなっている。それが75分というタイトな上映時間で描かれるのだから文句のつけようがない。（ちなみに奇しくも今年、本作と同じく「母」と「マルチバース」をテーマとした作品として『ザ・フラッシュ』というDC映画があるが、あちらは144分と本作の倍近くの上映時間となっている）

あと、今更ながら気付いたのだが、作品を通して流れるfox capture planの仰々しさのない切なげなBGMが本作の格調を高めていると思う。

劇場版1,2作目と同じく過去作のあらすじなどは完全にぶっちぎっており、完全に一見さんお断りの内容となっているが、アニメシリーズ1話或いは原作小説を読んで、今すぐ劇場に足を運ぶべき一作である。