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スターリングラードのこたつムービーのレビュー・感想・評価

スターリングラード(2000年製作の映画)
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スターリングラード映画祭完結。最後はアノー版。
ジャンジャックアノーは「薔薇の名前」くらいなもんで本作初めてまともに観た。

まず、そもそも原題は「enemy at the gates」。
タイトル違うじゃん!っつーツッコミは入れたい。スターリングラード攻防戦を包括的に語っていないからむしろ邦題がなってないわけだが。OK、オレの感想を一言で述べると


「心に残りそうにない」


だ。そもそも言語がオール英語でロシア人もドイツ人も英語。で、ロシアの英雄譚をフランス人監督が撮るっつー、まあよく言えば国際色豊か「ラストエンペラー方式」だが、監督力で言ってもラストエンペラーのベルトリッチの方がはるか数倍上な感じ。

まず編集がいいかげん。冒頭、円形の噴水で四面楚歌のジュードロウとファインズは次のカットでは無事赤軍本部戻ってるわけよ。

ヲイ! マンガか!

とまず威を削がれたね。ああ、そういうリアリティラインの映画なのね、と。折角出だしよかったのにかなりの帳消しで、その後もチョイチョイそんな「危機からのジャンプカット」がありうーむ、だ。全体的にどこかオットリしてるし、ジュードロウ、なにソロ部隊なの? 直属のボス誰? 指揮系統がよくわからんのだけど?って感じ。始めくらいだよね、大群に指令してたよね(このへんにロシアを描く「愛のなさ」も感じつつ)。

ファインズ/ワイズとの三角関係もいいよ? いいがそこは「おフランス」を感じてしまうんだよな。色恋沙汰に加えフランス的レジスタンスなのよロシア軍が。これ本国(ロシア)の反応大丈夫だった?ってとこ。我々で言えばチャンバラを英語で撮られてこれは日本の英雄の話ですよってとこだからな。
また、ごりごりアメリカ人の(笑)エドハリスが敵役。いいよ? いいが、


西部劇か!


って展開だったね。西部劇をするのにスターリングラードという背景は必要だったのだろうか。ロシアではなく英語圏でも似たような実話あるだろうに、と思ってしまったね。
また西部劇でもエドハリスとの「決着」に創意工夫がない。最後の対決は素直すぎて仰け反るわ。

散々書いたがこの映画の魅力は、ジュードロウとレイチェルワイズなんでしょ。旬すぎピチピチの彼らを眺められればいいんでしょうよ。でもそれって分かりきってるし、あまりそこ立ててもなぁ。
最後もなんですか、砲弾被弾して助からないってあれはフェイクかよ。トータルでいい加減ですよ。まあ時代なのかな、同時期の「パールハーバー」もひどいしねぇ。


オレの7時間をかけた結論を言おう。
「スターリングラード」は1993年ドイツ版。
ナッシン・バット、それのみが傑作だ。