亘

雨に唄えばの亘のレビュー・感想・評価

雨に唄えば(1952年製作の映画)
3.7
ドンとリナは無声映画のスター。2人は映画界の人気者で順風満帆のキャリアを歩んでいた。しかし他社のトーキー映画が大成功。2人もトーキーに挑戦するがリナのキンキン声は致命的だった。トーキー失敗かに思えたがドンの親友コズモの名案でドンは逆転を狙う。

言わずと知れたミュージカル映画の名作。代表曲「雨に唄えば」のほかも「グッドモーニング」とか「Yes-No」とか他の曲もポップな曲ばかり。衣装もカラフルだし、『ラ・ラ・ランド』がオマージュした理由もわかったような気がした。

それから登場人物が魅力的だと思う。ドンはまさに作品の顔というべき主人公で歌えるしタップもできる。駆け出しの女優キャシーはきれいだし演技もできて声も良い、それに心も純粋でまさにヒロイン役に最適。コズモはドンの陰に隠れがちだけどコミカルだしめちゃくちゃ良い奴で個人的には1番好き。この3人で歌うシーンは作品の中でも一番楽しい場面だと思う。一方でリナは知名度を鼻にかけた大女優で、自分の致命的な声の悪さに気付かない。今作の中では悪役。ミュージカルだから歌が注目されがちだけど登場人物それぞれが明確なキャラを持っているのも今作を楽しめる理由だと思う。

ストーリーは勧善懲悪のような感じで最後2人は結ばれるという分かりやすく軽い。でもこの作品はストーリーが分かりやすく、あとは歌とダンスを楽しむという作品だと思う。歌の中ではレインコートやソファ、ピアノなどいろんな道具を使うから次はどう展開するんだろうと期待させる。

この作品の一番の見せ場はやっぱり名曲「雨に唄えば」を歌うシーンだと思う。あの土砂降りの中ドンがまるで子供かの如くはしゃぎまくる。恋をして浮ついた様子を表しているんだけど、「あんなにビチャビチャにはしゃぐんだ」って思うほど浮ついていて見ていて楽しい。この雨の中歌うシーンをフルで見るだけでも今作を見る価値はあるんじゃないかと思う。

印象に残ったシーン:ドンとコズモ、キャシーの3人が家の中で歌うシーン。ドンが雨の中歌うシーン。
亘