うなぎのように"にゅろにゅろ"と捉えどころの無い主人公と作品でした。
ヒューマンドラマなのか恋愛物語なのかコメディなのか?方向性がごちゃ混ぜで今村監督らしくない。
妻殺しで服役し仮出所中の主人公の男(役所広司)が少し病的な感じもする性格なのが判別を難しくしています。
千葉県の佐原が主な舞台。
利根川に隣する寂しい場所に床屋を構える主人公。
一匹の鰻を友に誰にも邪魔されず更正の道を歩もうとする男ですが世間はなかなか許してくれませんでした。
鯰や泥鰌でも良さそうなものですが何故鰻なのか?
鰻は水底の物陰に潜んで餌の動物を突然ガブッとやる奴で何となく陰湿で凶悪な感じもします。
『復讐するは我にあり』(1979)でも浜松のうなぎ養殖場を今村監督は映していました。鰻について何か執着があるのか?単なる偶然か?
自らを泥鰌と例えた宰相がいましたが、容貌がその宰相とやや似ている今村監督はまさか自分のことを鰻だと思っていないでしょうか?
私一度だけ川崎市市民ミュージアムの食堂で氏とテーブルが隣り合わせになったことがあります。