広島カップ

八日目の蝉の広島カップのレビュー・感想・評価

八日目の蝉(2011年製作の映画)
4.0
蝉は地上に出て来てから10日間しか生きられない昆虫だと思い込んでいた私は、その8日目には一体何があるのだろうか?人生(蝉生?)の8日目には蝉はどう考えて生きているのだろうか?もしかして厳しい定年後の蝉生の話なのか?と相変わらずトボけたこと考えながら鑑賞に及びましたが、なんと蝉は地上に出てからは7日間の寿命とのこと。蝉生を終えた後の蝉の話ということでテーマが全然違いました。
※私は蝉の地中生活が10年というのを地上で10日と勘違いしてました

これは悲しく切なく、しかし強い母性の話です。
乳児誘拐は確かに酷い犯罪ですが、それ以上に子供を育てる女性の強よさが印象に残る作品でした。
赤ちゃんが可愛いかったので思わず"盗んで"しまった主人公ですが、夜は泣き止まないしオッパイも吸わない赤ちゃんに、どうしようもなくホテルの一室で一人立ち往生してしまう女性のシーンが出色です。
世の中には自らの腹を痛めた赤ちゃんを放棄してしまう女性がいます。色々な理由があると思いますが私は育ての親が本当の親だと思います。産むより育てる方が数倍大変だと思うからです。
どういう事情があれ結果として小学校に上がるまで懸命に育てた女性(永作博美)がその子と別れてしまうシーンには涙を禁じ得ません。
救いは大人になったその赤ちゃん(井上真央)が父無し子を身籠って真剣にそのお腹の子の事を考えているラストシーンです。
女性が子供を産み育てる決意の強さを映した表情の井上真央の演技は見事でした。

定年後の人生も色々大変ですが、子供を育てるのも大変です。
広島カップ

広島カップ