小皿

二十日鼠と人間の小皿のレビュー・感想・評価

二十日鼠と人間(1992年製作の映画)
4.0
フォロイーさんのお勧め作品ということで、原作読了後に鑑賞しました。
高校生の頃にテレビドラマとして放映された『エデンの東』をきっかけに、初めて原作を読んで以来のスタインベック作品です。
あの頃、長い物語を結構苦労して読んだ記憶がありますが、スタインベックの故郷でもあり、『エデンの東』の舞台にもなったサリナスという地名に懐かしい記憶が蘇りました。
主演のジョン•マルコヴィッチは、『マルコヴィッチの穴』をはじめ、いくつもの作品を見ていますが、同じく主演のゲイリー•シニーズと並んだらかなり大柄な方だったのだとビックリしました。細面な感じから華奢で小さい方だと思いこんでいました。
映像は、原作に忠実に作られていましたが、登場人物の一人がコカ・コーラを持って現れるシーンがあって驚きました。原作で読んでいた印象はもう少し古い時代をイメージしていましたが、原作が1937年に出版されたことを思うと、映画で描かれている時代背景のほうが正しいのでしょう。原作の冒頭でもバスも登場していますし、作者が1902年生まれであることを考えれば、時代は1930年初頭というところでしょうか。ただ、この頃のバスならばたぶんボンネット型のバスが主流だったかもと余計なことを思ったり…。1960年代に生まれた僕の子供の頃にはよく見かけたものです。
レニーという難しい役柄を見事にマルコヴィッチが演じていて驚きました。どちらかというと憎まれ役の多い彼ですが、その表情や声の出し方、ちょっとした仕草まで、とても惹きつけられたし、何よりも可愛気があって良かった!
ゲイリー•シニーズもあの『フォレスト•ガンプ』で一役有名になる前の主演作で、端正な顔立ちが際立っていました。後ろ姿のなで肩が彼のこれまでの苦労の全てを語っているような気がして、ラストシーンはじんわりと胸が痛かったです。
1992年制作というのは、その時代であっても少し古典的な作品に思えるのですが、当時この作品が公開された記憶を僕は持っていません。
調べてみると、これ以前に1939年にも映画化されているのですね。こちらの方も観てみたいと思いました。
小皿

小皿