唯

レベッカの唯のレビュー・感想・評価

レベッカ(1940年製作の映画)
3.7
母親代わりと自称する相手からいじめられているのに依存関係を断ち切れないのは、自己肯定感が低くて尽くし過ぎてしまうから。嫌われることを極度に恐れているから。
マリアンは、そうした依存関係を引き寄せてしまう傾向にある。

マクシムも最初から気の短さを露呈しているしキレると怖いから良い夫とは言えないのに、それでも執着するのは「自分を求めてくれる人は他にいない」という自信のなさがある。
すぐ謝ってしまったり被害妄想を広げてしまったり、相手に理不尽に怒られても自責の念に駆られてしまったりするのもそのため。
ダンバース夫人に対しても強気に出られない、自分の意見を主張出来ないがために余計に虐められてしまう。
本来なら使用人より妻の立場が上のはずなのに、そう振る舞えないのよね。。

家が気が休まらないとか嫌だわ。

まず、相手をよく知らずに結婚するのは危険。
前妻を忘れるために結婚するなよ、失礼だろ。
しかも、レベッカのことに触れられたくないならきちんと説明すべき。
人生を新しくやり直したいなら使用人も一新すべきだし。
ダンバース夫人はレベッカ側の人間だから、真っ先にクビにした方が良いし。

秘密を共有し頼られることで、マリアンとマクシムの立場は逆転する。
頼りない姿を見せられることで自分の必要性を感じ、マリアンは生き生きするのだ。

それぞれの思惑や意図が交錯するから、ミステリーは成立する。
皆の予想とは外れたところに真実があるのはお見事。
ダンバース夫人の意図は最後までよく分からなかったが。
唯