ぴのした

裏窓のぴのしたのレビュー・感想・評価

裏窓(1954年製作の映画)
3.8
ヒッチコック名作サスペンス。裏窓から見える景色だけで物語が進んでいく構成が圧巻。

脚を骨折したカメラマンのジェフは、窓から見える隣人たちを観察して暇を紛らわしていた。そのうち隣人の1人のセールスマンの様子が怪しいことに気づき、殺人事件が起こったのではないかと勘ぐるのだが…。

さすがはヒッチコック、窓から見える世界だけでサスペンスを作ってみようっていう設定の時点でもう面白い。登場人物も、怖いもの知らずの恋人、達観してジョークを連発する看護師のおばさん、冷静な友達の刑事と、みんなそれぞれのキャラが立ってて良い。

クライマックスで結局主人公たちの推理通りに事が運んでしまってちょっと物足りなさはあるものの、全体としてよくできた推理小説的な面白さがある。物語はすごく小説的なんだけど、窓から見える光景はすごく絵になってて、映像としても面白い。

ヒッチコックの映画は女性差別的だとよく言われる(例えば鳥では自主性が高く自由に生きる女性が災厄を引き起こす元凶として扱われる)らしい。今回の裏窓も、差別的とまで言えるのかわからないけど、女性のステレオタイプ的な表現が目立つ。

リサは推理の中で「女性は〜〜しない」「女は〜する」といった論点でものを言い、その推理が結局事件を動かす転機になる。また、リサはジェフの男性的な生き方(世界を飛び回り、汚い生活の中でも仕事をするような生き方)についていけると見栄を張るものの、結局はジェフが寝たあとは旅行記を放ってファッション雑誌に手を伸ばす。ヒッチコック映画の中では、なんだかんだ女性は「女性的な生き方」から逃れられないように運命付けられているようにも見える。

あと、サイコにしろ鳥にしろこの映画にしろ毎回思うけど、ヒッチコックの映画の人たちはもっとプライバシーとかセキュリティの概念を持ってくれと思う笑。家のドアに鍵くらいかけてくれ笑