円柱野郎

劇場版 機動戦士ガンダム00(ダブルオー)-A wakening of the Trailblazer-の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

TVシリーズで「人類がいずれ巡り合うであろう異種」としてイオリア・シュヘンベルグに言及されていた存在。
それが今回の人類が対峙する相手になるわけだけど、そういう意味ではちゃんとTVから前フリはあったのかな。
ただ、“木星から現れた物言わぬ異星物の大群”という設定、そしてそれが脳量子波に惹かれるだのコミュニケーションするだのと言われると、近年の作品だけでも「マクロスF」や「雪風」や「トップ2」などを想起させ、正直言ってあえて今のガンダムでこのネタを描く意味があるのかは疑問。
結局、話の落としどころも想像を超えるものではなかったし…。

宇宙人や怪獣的なモノが敵だった初期のスーパーロボットアニメ。
それとは違う“人類間の戦争”を描いて一つのジャンルを築いたのが「ガンダム」。
でもこの映画がその「ガンダム」という存在をから遠くに行こうとして、結局“宇宙怪獣”と戦うような先祖返りを起こしてしまうというのは皮肉にしか思えないw
まあ、相互理解や人類の革新とか、ガンダムらしいパーツを描いてはいるけど、それにしても相手が「マクロスF」の印象に似すぎてしまったのは引っかかる。

演出面では、冒頭のテンションの高い戦闘シーンにビックリした。
登場人物は絶叫し、オーラをまとってビームを撃ちまくる。
敵のモビルスーツはモビルアーマー(?)の上に仁王立ちし、何事かを絶叫する。 そう、まるでスーパーロボットアニメの戦闘シーンじゃないか…、と思ってふと考えた「ああ、これは劇中劇に違いない」。
そして次のシーンでその映像がかかっている映画館の中が描写された。
やはりね。

このシーンを見ると、リアルロボットとスーパーロボットのテンションの違いがどういうモノかよく分かるので面白いのだけど、あれ?昔こんな話を見たような聞いたような…。
「ナデシコ」の「ゲキガンガー」?
まあそれはそれとして、その劇中劇ではソレスタルビーイングがアロウズを倒したという場面が誇張して描かれてます。
TV版のおさらいとしては端折りすぎだけど、「ガンダム」では面白い試みだと思った。

総じてこの映画は戦闘シーンの物量がすごい。
敵味方共に圧倒的な数の総力戦はスピード感も迫力も相当に頑張っていると思う。
でも正直言って、似たような描写ばかりで観ている方が慣れてきてしまうような展開だったのが勿体ないんだよな。
TVシリーズでモビルスーツ能力のインフレを起こさせてしまったツケか。
メリハリのハリばっかりじゃ、見せ物としてはやっぱりねえ…。
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