たりほssk

バティニョールおじさんのたりほsskのネタバレレビュー・内容・結末

バティニョールおじさん(2002年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

~1942年、ドイツ占領下のパリでユダヤ人の子供たちを救おうとした普通のおじさん~

バティニョールおじさんは、どこにでもいる普通の人、強い志を持っているわけでもなく、毎日愚痴なんかこぼしたり、家族とケンカしたりしながら、肉屋を営んでいる。

その彼が、言わば場当たり的に、ユダヤ人の子供たちを匿うことになり、彼らをスイスに逃れさせようと奮闘し始める。
おじさん、決してヒーローじゃないけど、すごい事をやってる。娘婿を亡き者にしたり(これには驚いた!)医者のふりしたり、身分証がないまま、検問通過したり、最後は自分の家族とも別れ………

だけど普通の人ってこういう感じかもしれない……その場の状況に巻き込まれて、その時になっていろいろ考えて、一貫性なんか全然なくて、楽しんだり、怒ったり、焦ったり、グロテスクだったり、感動したり、そういう様々な部分からおじさんが成り立っていて、すごくリアリティーを感じました。

さらにコメディの要素が加えられているのでストーリーがより一層複雑になり、厚みが増していると思います。

またシモンとの会話もすごくおもしろくて、おじさんと心が通っていく様子がよく描かれていると思いました。

ラスト、おじさんがユダヤ人のシモンの父になりきって大芝居を打つところは、本当にハラハラして、(おじさんがんばれー)と心の中で叫びました……

反戦を訴えつつ、人間を奥深く描く秀作だと思います。
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