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ゴッド・ブレス・アメリカのdm10foreverのネタバレレビュー・内容・結末

ゴッド・ブレス・アメリカ(2011年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

【いやいや、そんな理由で殺さなくても・・・】

まず、このDVDを観ようと思ったきっかけは、内容の割りにポップなパッケージに、なんともいえないB級感を感じたからだった。無差別殺人に理由なんてないんだぜ~くらいすっ飛んだ映画を期待していた・・・。

でも、ここで描かれる主人公の「フランク」は等身大のダメ男。
こんなおじさん、世の中に数え切れないくらいいるよ。
変に理屈っぽくて「世の中は偽善と欺瞞と暴力しかない」みたいなことを
お酒の席で延々語るタイプ。
このおじさんが、どういう過程で無差別殺人犯になっていくのかと
それこそ序盤はだるいながらも期待して観ていた。
しかし、彼はその屁理屈から最後まで抜け出すことはなかった。
殻を破れなかったというほうが正しいのか?
結局彼は自分の不満の捌け口として人を殺したのか、現代人の文化が壊れゆく様を見ていられないと嘆いて片っ端から人を殺したのか・・・。

結局、無差別殺人の理由がはっきりしなかった。
理由がないならむしろその方がいい。
「ナチュラルボーンキラーズ」のように。
でもこの映画そうはしなかった。何かしらの殺人の正当性を持たせようと
あちらこちらで、フランクが現代社会や体制、マスコミへの不満などを
捲くし立てるが、観ている側からすると「で?」って感じになる。
つまり「それ」と「殺人」を繋げる必然性がないのだ。
「マスコミがくだらないでっち上げの情報を流す」だから「殺す」
だったらそいつだけ殺せばいい。
映画の中で殺された人たちの多くは「フランク」の持つ「中途半端な屁理屈」で殺されたのだ。
すっきりしないな~。ラストシーンでスローモーションで銃を乱射するところも色んな映画で観るカットなので、恐らく製作者側の意図で、何かしらのオマージュ的なものもあったのかもしれないが、ごめん、そこまで気持ちが辿り着かない。
中途半端に殺すくらいなら、無意味な無差別殺人のほうが映画としては成立したと思う。現代社会への痛烈な批判的な映画にはなりきれない、ちょっと残念映画でした。
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