ベイビー

パーフェクトブルーのベイビーのネタバレレビュー・内容・結末

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

「ブラック・スワン」に影響を与えたと言われている本作品。久しぶりに見直してみたら、なるほどよく似ていますね。その事実はともかく、この作品の存在感は20年前の作品とは思えないほど、色褪せず、独特な光を放ち続けています。

アイドルから女優へという変化には、必ず摩擦が生じます。偶像世界から現実へとステージを変えるエネルギーには必ず摩擦が生じるものです。

摩擦とは心の叫び。当事者の本人はもちろん、ファンや関係者さえも、抗えない変化に戸惑いを隠せないでいます。偶像のベールを脱ぎ捨て、裸になって現実を思い知る。その見たくもない現実を突きつけられた時、抗えない摩擦の抵抗として、人は狂気になるのかもしれません。

この作品は、村井さだゆきさん脚本、今敏さん監督のもと、偶像世界の歪を、サイコパス、ストーカー、解離性同一性障害、ホラー、サスペンスなどの要素を取り入れ、斬新な切り口と演出で作り上げられています。

未麻が心の摩擦と自分の身のまわりで起こる事件などで苦しみ、どんどん自分の人格が剥がれていく構成とそれを効果的に見せる演出はお見事ですね。今敏監督の効果的なタイミングの取り方と、リアリティを追求した作画は本当に素晴らしいです。

あーーーーーーーーッ
今敏監督の作品をもっともっと見たかった。
ベイビー

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