nt708

めしのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

めし(1951年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

やはり女性にとっての幸せを問うた成瀬の映画は絶品である。夫婦の間における幸せと自分自身の幸せ。現代であれば同じものなのかもしれないが、当時の結婚の仕方、女性の生き辛さからすれば、もって異なるものだったのだろう。ふたつの相反する幸せがぶつかったとき、物語に登場する女性たちがどのような選択をするのか。この点が本作もまた実に良く描かれていた。

それに本作を観ていて気が付いたのは、成瀬の演出手腕が素晴らしいのは言わずもがな、林芙美子が書いた原作もなかなか素晴らしい作品なのではないかということ。彼女から見た当時の女性にとっての幸せを成瀬が映像として力強く描く。原作はまだ読んでいないのだが、そんな仕組みになっているような気がする。やはり自分は小津・溝口・黒澤よりも成瀬の映画が好きである。
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