エイデン

プラン9・フロム・アウター・スペースのエイデンのレビュー・感想・評価

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アメリカン812便の操縦士であるジェフは、飛行中に突風と共に現れた空飛ぶ円盤を目撃する
共にそれを目の当たりにしたもう1人の操縦士ダンと共に、ジェフは管制塔に報告を入れるのだった
一方 ある老人の妻が亡くなり、葬式が挙げられる
それが終わると、2人の墓掘り人が仕事のため穴を掘り始めるが、不気味な音が聞こえ作業を中断
帰ろうとする2人が見たものは、死んだはずの老人の妻が墓から蘇って歩いているのを目撃する姿だった
それからすぐ、妻を失って憔悴していた老人も事故に遭って帰らぬ人となってしまう
老人の葬儀も行われ、夫婦揃っての悲劇を悲しむが、集まった参列客は妻が土葬なのにも関わらず老人は地下墓地に安置されていることが気になっていた
参列客達はその帰り道、2人の墓掘り人が墓地の片隅で死んでいるのを発見
その通報を聞いたクレイ警部は警官隊と共に墓地へと訪れ捜査を始める
その頃 墓地の近くに住んでいたジェフは、以前 空飛ぶ円盤を見て軍に口止めを約束させられたことを妻のポーラに明かす
宇宙人は地球に来ていると確信するジェフが何か手を打たなければならないと考えていると、再び目の前に空飛ぶ円盤が現れ、クレイ警部らもそれを目撃する
やがてクレイ警部も墓地から蘇った老人によって殺害され、人類は宇宙人との戦いに直面するが・・・



アメリカ史上 最低の映画監督として愛されるエド・ウッドが監督・脚本・製作を務めたSFホラー映画

作家のハリー・メドベドとマイケル・メドベドが自らの著書『ゴールデン・ターキー・アワード』で「史上最低の映画」と題し紹介したことでも有名

もともと映画製作の資金捻出に苦悩していたエド・ウッドが、役者陣と共にバプテスト教会に帰依させ、製作権を買わせた経緯がある
ただ当時から評判はまあまあアレだったため、教会も放映権を格安でテレビ局に手放し、その安さゆえにテレビ局が繰り返し深夜放送したことで認知度が広まってカルト的な人気に繋がっている

内容としてはビックリするほど陳腐
平坦なストーリー
怖くも不気味さもないホラー描写
カタルシスも無いアクション
キャリアを積んだベラ・ルゴシらを除けば素人同然の俳優陣
おもちゃを使った空飛ぶ円盤をはじめとした雑なセット
散見されるミスショット
ついでに言うと、古典ホラーのノリを再現しようと試みてるものの、当時そのブームすら去った後という波に乗れないセンスの無さ
などなど、ツッコミ始めたらキリがない
延々どのシーンもシュールで取り留めなく、学芸会レベルとはこのことを言う
まあエド・ウッド作品としては通常運転で、めちゃめちゃ真剣にやってるというのは感じ取れるのでメチャメチャ愛せる

映画製作も商売
全く買い手もつかず、フィルム営業をしていたプロデューサーは疲労で死去し、盟友ベラ・ルゴシも本作の完成前に亡くなったことから、エド・ウッドの人生も大きく転落していく契機になった作品でもある
面白いか面白くないかで言うとクソおもんない作品だというのは事実だけど、少ない予算と能力で頑張ってるのは随所から感じ取れる
何より滲み出る映画愛に支えられ、本作には数々の映画関係者やファンもおり、与えた影響も数多い
前述の『ゴールデン・ターキー・アワード』や、ファンの1人でもあるティム・バートン監督の伝記映画『エド・ウッド』など再評価の機会にも恵まれてる作品なので、映画ファンなら一度は押さえてほしい作品
オススメはできない出来であることは承知だけど観ましょう
エイデン

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