『Life is Beautiful』を観たからには、本作も見なければという謎の焦燥感に駆られて鑑賞。比べるものでもないが、あえて言うならば個人的にはこちらの作品のほうが好みだった。
戦争を描いた作品を観ると、地球上でいちばん醜くて愚かな生き物は人間だと思い知らされる。本作でも割と惨いシーンが多かったが、現実はもっと悲惨なものだったのだろうなと考えると震えてしまう。
ナチス党員でありながら、ユダヤ人の方々の生命を救ったシンドラー。彼の本心は分からないが、表情や発言から察するに、きっとナチスのやり方には違和感や嫌気を感じていたのではないかと思った。終盤で、車を売っていればあと10人は救えた、バッジを売っていればあと数人は救えたのに、それをしなかったと詫びながらシンドラーがシュターンに泣き崩れるシーンには涙が溢れる。救った人以上に救えなかった人の生命を強く想う姿は脳裏に焼き付いた。
誰かを殺める人がゼロになる日はこの先も永遠にやってこないだろう。残酷だがこれが現実で、今も紛争やテロなど解決されない問題が山積みであり、世界中を巻き込む戦争だってまたいつ始まるか分からない。
だからこそ、自国が犯した罪や他国から受けた攻撃、そして他国のこうした歴史にも関心を持ち、命ある限りはもっと学ばなければならないと感じた。そこから教訓を見出さなければ、また人間は同じ過ちを犯し、歴史はきっと繰り返す。
自身もユダヤ系アメリカ人であるスピルバーグ監督はどのような想いでこの作品を作り上げたのだろうか。あえてのモノクロ調、その中でもある少女の着ている服だけは赤色で鑑賞者の記憶に虐殺の生々しさを植え付けると共に、救えなかった人たちを想うシンドラーの無念を強調させている。
こうして、振り返ると『Schindler’s List』というタイトルの重みを感じた。人生で一度は観ておくべき映画だと思う。
