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ボーンズ アンド オールのmomokaのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
4.1
『Call Me by Your Name』以来のルカ・グァダニーノ監督作品。

本作はガニバリズムを題材としており、中でも行き場を失くした若者2人を中心として物語が描かれていた。ガニバリズムが題材というと一見ギョッとする人も多いかと思う。しかしながらあくまでも本作は人が人を喰べるという行為に焦点を当てホラー映画的に描くのではなく、登場人物の心情に寄り添い制作された作品だと感じた。

人を喰べることへの葛藤や、世間からは決して理解してもらえない、他の人とは違うという疎外感。そうした孤独を抱えながら生きていた、マレン(テイラー・ラッセル)とリー(ティモシー・シャラメ)が惹かれ合うのは当然のことだと感じる。恋人でありながらも、お互いを支えにこの世界を生き抜こうとする姿はまるで戦友のようでもあった。

ガニバリズムが理解できなくとも、このどうしようもない社会で生きる私たちにとってどこか彼らの孤独には共感し得るものがあると思う。

難しい役柄ながらティモシー・シャラメの存在感はやはり圧倒的だし、本作で初めて知ったテイラー・ラッセルも抜群の演技力だった。血まみれのラストシーンは、思わず巻き戻して観てしまうほど。物凄く印象的で脳裡に焼き付く。骨まで愛する、か。

また音楽や映像が美しくも、どこか寂しさが隠れていたり、脆く崩れそうな雰囲気をうまく醸し出していて良かった。グロテスクな描写が大丈夫な人であれば、意外と怖いシーンは少ないのでホラーが苦手な方も観やすい?かと思います。

映画館で観たかったな。
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