HicK

ハリー・ポッターと賢者の石のHicKのレビュー・感想・評価

4.3
《素晴らしい美術と音楽。全ての瞬間がテーマパーク》

【充実の長尺】
子供にも大人気とは思えないほどの上映時間の長さ。それでも現実世界と魔法世界、そしてホグワーツ校の一つ一つを紹介しながら、1シークエンスごとに伏線が植え込まれてるのでムダは一切感じない。全てが繋がるラストを迎えた時は、その壮大さに本当に一年が経過した気分。原作は4作品ぐらいしか読んだ事は無いが、ひとつひとつがかなり長い物語なので、長尺と言えども"シェイプアップ感"すらある。

【ファンタジーとホラーのバランス】
制作者たちはどの場面をカットするか、脚色するか等悩んだんじゃないかなと想像。尺の問題もあれば、原作の特色はサスペンス・ホラーの要素が強いので、ファミリーエンタメとしての塩梅も課題だったはず。それでも今作の出来を見れば絶妙なファンタジーとホラーのバランス。温かな世界観に所々ゾッとする展開は、何度でも見返したくなるちょうどいい刺激感。

【最高の雰囲気作り】
もちろんJ.K.ローリングの原作自体が素晴らしいのだが、没入感ある豪華なセット美術が成功の大きな要因の一つにも感じる。まさに全ての瞬間がテーマパークのよう。また、音楽のジョン・ウィリアムズの力もめちゃくちゃデカい。美術と音楽が合わさってアトラクションのような世界観。

【ハーマイオニーとロン】
俳優陣は特にこの二人が素晴らしい。エマ・ワトソンはどこにでもいそうな、ちょっとオマセな女の子。当時の彼女が持つ"子役感"が逆に「背伸びをしているハーマイオニー」としてしっくりくる。そして、ロン役のルパート・グリントはリアクションのタイミングが絶妙で、多彩な表情が素晴らしかった。とても器用。トロール撃破後に2人が仲直りをしていく場面が好き。

【疑問】
劇中、学校とは関係ない森の生物が内情を知っていて、学校が最近賢者の石を隠しているという最大のヒントをハリーたちに教えるが、「なんで知ってるの?」と疑問に思った。これ、原作でなんかあったっけ?…忘れた。

【総括】
1作目から完成された世界観を作り上げ、現実逃避させてくれる今作。特に美術と音楽が素晴らしかった。まさにテーマパーク。ワンシーン、ワンシーンに意味がある素晴らしい作品だなぁと改めて感じた。
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