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手錠のまゝの脱獄のゴトのレビュー・感想・評価

手錠のまゝの脱獄(1958年製作の映画)
3.7
対立する2人が手錠に繋がれ、協力を余儀なくされる、という話はたまに見られるけど、この対立軸を超えるモチーフはそうそうないんじゃないか。

1958年公開の映画だが、その数年前にはモンゴメリー・バスボイコット事件があって、当時の世相というか何か大きな流れに背を押されて製作された背景がありそうな感じ。それにしても、もうすぐ平成が終わるというのに未だに人種差別を題材にした映画が撮られていることに、この問題が抱える根深さが窺えてしまう。皆自覚がないんだよね、差別しているっていう。自分も含めてだけど。

あの欲求不満なお母さんも人種差別しているという自覚がないから、食事出さなかったり簡単にウソを教えてしまう。自覚がないというのは悪気がないってことでこれが一番厄介。

話的にはシンプルなストーリーで白黒だからと構えることなく入っていけるのではないか。ジョーカーとカレンが協力しながら絆を深めていく一方で、追跡する白人の集団がどうも一枚岩になれないのも、皮肉っぽくて面白い。何よりカレンの歌う野太い「ロング・ゴーン」が良い。
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