ゴト

行き止まりの世界に生まれてのゴトのレビュー・感想・評価

3.8
90年代のアメリカ映画に割と多かったどこか牧歌的な雰囲気は、9.11以降なりを潜めていった様に感じる。それは、リーマンショックもあったりして、アメリカという国が実は自分たちが思っていたほど大丈夫ではないことにアメリカ国民が気付いてしまったということだと個人的には思っている。

にも関わらず今もこういう映画が注目されるのは、光にしか目が行かずコインの様に物事は表裏一体であることに気付かないアメリカ人が多いということか。

面白いのは、人種の違う3人がスケボーというアメリカを代表するストリートカルチャーを共通点とすることで、「アメリカ人」という一つの括りでもって見られるという点だ。もし彼等がスケボーをやってなかったらもう少し毛色の違う作品になっていたのではないか。例えばもっと人種問題の側面が強くなったりとか、そんな風に思う。

また、スケボーが青春とか過ぎ去っていった色々なものを呼び起こすアイテムになっているのも良かった。まあ、なっているというか、自分がいい歳した日本人だからそう感じるだけかもしれないが。

でも、カメラに記録するというのは、過去を振り返ることであり、それは昔と今の違いを知ることである。だから、過ぎ去っていったという表現も間違いではないようにも思う。

この映画に出てくる人達がいつかもう一度映画を観た時、今の方が良いと言える未来になっていることを祈ります。
ゴト

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