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天国の口、終りの楽園。のゴトのレビュー・感想・評価

天国の口、終りの楽園。(2001年製作の映画)
4.7
「ライ麦畑でつかまえて」が17~18歳の頃に読んだ方が良いように、この映画も思春期に観ておいた方が良い部類に入ると思う。

もし、この映画と同じような旅が出来るとしても今の自分にはこんなパワーは出せない。だからこそ、この映画を観ると「もっと早くにこの映画に出会って、こんな風に若さとリビドーを爆発させられていたら」と小さく悔やむのだ。

ヴェネチア国際映画祭で脚本賞を受賞しているが、その大半はセックスとドラッグについてで、口にできないようなセリフも多い。しかし、観終わるとその大胆なバランス感覚に驚かされ、もう戻らないあの頃を懐かしく思うのだ。

私達は地図を片手に生きているわけではない。存在しないビーチに向かって旅をするということは先の見えない人生に向かっていくことと同義であり、迷い、立ち止まり、時に親友の彼女に口でしてもらったかどうかで喧嘩することもまた人生なのではないか、そんな風に思う。

本編の時間軸を過去の出来事のように語る第三者視点のモノローグとエマニエル・ルベツキの絶妙すぎる距離感のカメラワークが最高な映画。
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