HicK

メリー・ポピンズのHicKのレビュー・感想・評価

メリー・ポピンズ(1964年製作の映画)
4.3
《Mr.バンクスを救え!》

【新しい時代、新しい家族】
序曲から掴まれる。シャーマン兄弟による最高の楽曲と共に描かれる「新たな時代の家族」。厳格な父と新たな女性像を目指し活動する母。新しい時代の理想を追う中、見落とされた大切なモノ。

【メリー・ポピンズ】
彼女はジェーンとマイケルの理想のナニー。だが、優しさだけではなく正義感溢れる厳しさもあり、決して彼らを甘やかさない。子供に目もくれない父にも立ち向かう。強い女性。めんどくさい事も楽しもう、人生楽しんだもの勝ちという明るさがチャーミング。

【バート】
父に正面から向かっていくメリーに対し、バートはフォロー役になっているのもうまいなと思う。「お父さんは孤独に一人で戦ってるんだ」と父の気持ちをくみ、子供たちにも歩み寄るよう諭している。父に対しては「大切なものを見失うと一瞬で無くなってしまう」と気づかせようとしている。メリーとバートが補完し合ってる。理想の夫婦像にも近い。

【ウォルトの約束】
この物語の真の主役は父であるMr.バンクスだった事が映画「ウォルト・ディズニーの約束」で判明。メリーは子供達のためではなく、父を助けに来たという真実。彼に大切なモノを気づかせに来た。作者であるMrs.トラヴァースの背景を知った今は、とても切ない作品にも見える。

【ただ】
個人的にはちょっとダンスシーンが長く感じた。あと、幻想、空を飛ぶ、止まらない笑い、…まるで薬物中毒(と思ってはいけない事を思った)。イマジネーションってことなんだろう。でも、このダンスの長さも独創性もちょっと気になってたからこそ、「ウォルトの約束」ですんなりと原作者の気持ちに共感できのかもしれない。

【総括】
シャーマン兄弟による楽曲がどれも素晴らしい。そして、『Mr.バンクスを救え』『大切なモノに気づかせろ』という裏テーマ。意外と奥が深い「メリー・ポピンズ」。決して子供たちのためだけの作品ではない。逆にMr.バンクスを通して大人に向けた作品かもしれない。

行動し始めたら、もう半分合格!
「Spit Spot !」
HicK

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