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逆転裁判のシネラーのレビュー・感想・評価

逆転裁判(2011年製作の映画)
3.0
人気ゲームシリーズである「逆転裁判」の実写映画を劇場公開以来の再鑑賞。
個人的に「逆転裁判」シリーズは
全作プレイしている位に好きなのだが、
やはり本作の内容に関しては
「異議あり!」と叫ばずにはいられない。

物語としては、
新米弁護士である成歩堂龍一が
ライバル検事である御剣怜侍と対峙し、
矛盾を突いて真実を明らかにする
法廷劇となっている。
原作となるゲーム「逆転裁判」は
明るい雰囲気のコミカルな中に
オカルト要素があるが、
本作は冒頭から雰囲気が暗い上に
霊媒という要素を完全にホラーへと
仕立て上げている事に違和感があった。
そんな雰囲気にも関わらず、
法廷でのコメディ場面で吉本新喜劇
のように皆がずっこける場面がある為、
作風がコメディにしても
シリアスにしても中途半端だと思った。
その上で豪華なキャスト陣が
キャラクターのコスプレをしている
かのようなビジュアルである為、
もっと明るい作風が良いように感じられた。
物語としても成歩堂が
仲間達の助けを受けつつ一人前となる
成長物語として弱く、
最後まで運良く事が進んだだけの
頼りない印象が強かった。
ゲーム版にあるハッタリや
発想を逆転させての追求によって
真犯人を追いつめる爽快感と
テンポ感が皆無であり、
普通の法廷ミステリーとなっていて残念だ。

しかしながら、
原作である「逆転裁判」のエピソード
としては上手く纏められていると思う。
更には、
一人の証人の過去描写や事件までの経緯
が原典以上に描かれており、
ホラー的ながらもそこは
実写化したからこその生々しさだった。
エンディングに至るまで散りばめられた
原作ネタも楽しめる部分だった。
又、劇中で時折に流れる音楽が、
しっかりゲーム版のBGMアレンジ
なのは嬉しい要素でもあった。
加えて、ポルノグラフィティによる
主題歌「2012 Spark」も好きな楽曲だ。

映画として誉められる部分は少ないが、
好きなゲームの実写作品なだけあって
嫌いになりきれないのが正直なところだ。
個人的な評価も少し甘いとも思うが、
原作ファンがたまに何も考えずに
本作を鑑賞する事で、
再びゲームをプレイしたくなる位の
魅力はあると思った。
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